エアロバイク (湘南ゆうき村→みらい社・植村  裕)

50歳を超えてから、体のことが気になるようになった。検診で中性脂肪の値が高い、血圧が高いなどと指摘されることが多くなり、「長生きしてもしょうがない。」と強がっているのだが、「生きているうちは健康でいたい。」という本音もある。

原因ははっきりしている。やんわり言えば摂取カロリーが消費カロリーを上回っている状態である。はっきり言えば肥満である。私は酒もたばこもたしなまないので、食べることが唯一の楽しみである。若い頃はいくら食べても痩せていたが、年を取るにつれて新陳代謝の低下と運動不足により、20代の頃にくらべ20キロ近く太ってしまった。食べただけ身についてしまうのだ。駅で電車に乗ろうと急いだり、階段を上ると息切れがし、靴ひもを結ぼうとかがむとお腹がつかえて苦しくなったりするようになった。

 6年ほど前に運動不足解消のためエアロバイクを購入した。しかし、稼動率は年間34ヵ月程度で、ときどき思い出したように始まり、仕事が忙しくて、と中断してしまうことの繰り返しだった。現在も半年間休止している。使われぬエアロバイクは無用の長物で、終いには洗濯物が干され、服のハンガー代わりに使われている。そして家人の口にこそ出さぬが「こんな邪魔くさいものを買って、また三日坊主か。」というプレッシャーをひしひしと感じ、自分の意思の弱さに自己嫌悪に陥ってしまう。

 近年、マスメディアではダイエットや健康が空前のブームで、特にテレビではダイエット・健康の特集番組ばかり目立つ。興味がないわけではないが、いいかげん食傷気味であり、痩せていなければいけない、健康でなければいけない、という強迫観念的な印象を受ける。それに皆が流され、とても偏った価値観を求められるようで、何か怖いものを感じる。

 久しぶりに20分ほどエアロバイクのペダルをこいでみた。少し汗をかいて気持ちがよかった。自分にとって運動の目的がダイエットや健康だけになるのはきついと思う。運動をして汗をかき、爽快感や気持ちよさを感じることが何よりであり、長く続けるために必要なことであろう。そして、運動をして階段を上っても息が切れなくなったらいいなあ、と思う。欲張らないことにしよう。

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