青い鳥を探して(25) (事務局・増田 達也)

数年前、ある施設で、隣接する家から出火し、お住まいの利用者親子が焼死されました。

 

その施設の施設長とは、プライベートでも長年つき合いがあり、後日詳細を聞きましたが、2日間ほどは自分がどういう行動をしていたか思い出せないほどの状態で、悲しみに浸る間もなく、種々の対応に追われたそうです。警察・消防署の事情聴取、家族の会への説明、通夜・葬式の段取り・・・もさることながら、一番大変だったのは、新聞社の取材攻勢だったそうです。施設にも日頃の防災等の支援体制に不備がなかったか・・・と、何とか荒探ししようとする記者達に対して、施設長は頭の中が真っ白状態ながらも、「隣接とはいえ、取り返しのつかないことをしてしまったことは、自分にも大いに責任がある」「嘘・ごまかしは言わない」「正直に、誠実に対応しよう」ということを心掛け、その結果、翌日の新聞は、全社とも施設を責める記事はなく、それどころか、葬儀に参列して頂いたり、花輪・香典を頂いたりしたそうです。

もちろんこれは結果論で、記者の心象を良くしようという姑息な目的で表面上だけ取り繕っていたら、このような結果にはならなかったかもしれないと思います。さらに、全てを包み隠さず話しても納得してもらえない場合もあると思います。しかし、不祥事を起こした時の企業の対応を見ていると、一度嘘をつくと嘘の上塗りをしないといけなくなり、嘘やごまかし、隠蔽工作は、どんどん信用を無くしていくと思います。

 

 一度失った信頼を再び取り戻すのは、容易なことではないと思います。たとえ正直に誠実に対応しても、誠意の通じない人もいるとは思いますが、でも「どうせ言っても通じないだろう」と諦めたり開き直ったりすることなく、誠意が通じるかどうかは結果論として、日々こつこつと実践を積み重ね正直に誠実に対応しなければ、周りの人たちとの信頼関係を築くことは難しいと痛感しています。

 

         ▼施設に土地を寄付して下さった方に感謝し、記念植樹したしだれ桜です。

         他の桜に比べて派手さはなく、5日間程で散ってしまいましたが、

         寄付して下さった方の誠実なお人柄をあらわすように慎ましく咲く姿は、

         私にとっては一番美しい桜です。

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