月並みな表現だが、わが子とはかけがえのない存在である。
我が家には娘(女子高生=JK)と息子(中2)がいるが、今回は娘の話。
娘が中学に入学したばかりの頃。目を輝かせて「入りたい部活がある!ダメって言われたくないから何部か言う前に『いいよ』って言って!」と入部を懇願されたのは剣道部だった。
娘はもちろん、私も妻も剣道は未経験、特段関心が強かったわけでもなかったのでとても意外ではあったが、娘はその魅力にどんどんはまっていき、中3の時には初段に昇進した。
中3夏の大会、つまり中学部活での最後の大会は観戦に行ってきた。個人、団体両方で出場した娘は朝から少し浮かない表情であった。
まずは個人戦。見ているこちらがドキドキしている...
相手のメンが決まり、娘もメンを返した。
続いて相手のメンが決まってしまった... 惜しくも一回戦負け。
そこには早々に2本とられて敗退していた初心者当時の娘の姿はなかった、が勝負とは非情である。試合は淡々と進んでいく。
続いて団体戦。奇しくも個人戦で戦った選手の学校が相手だ。
副将だった娘の対戦相手は、なんと個人戦で戦った選手であった。
中堅までで2-1で一歩リードを許している状況。娘が負ければ団体の負けが確定する。
見ているこちらの緊張はすでにピークである...
まず、娘のメンが決まった。だがすぐに相手のメンが決まる。
しばらく攻防が続いたのち、娘の小手が決まった...勝った!良かった!
だが、大将戦の末、惜しくも一回戦負け。大将の子、泣いて謝っている。
謝らなくていいよ、頑張ってたよ、とこちらの目頭も熱くなる...
しばらくしてから、観覧席にいた私どものもとに娘がやってきた。そしてうつむいたまま「勝ったよ」と一言。様々な意味を含んだ重い一言だ。
すぐに立ち去ってしまい、観覧席通路で肩を震わせ泣いていた...
悔しい、とか、残念、とか一切言わなかった理由は後日分かった。
「負けた、勝った、じゃなくて、この仲間ともう剣道が出来ない事がとにかく寂しい」と。試合前の浮かない表情もこれが理由だった。
剣道はこの仲間とだけの思い出にする、との思いもあったようだが、娘の剣道愛は強かった。
結局、高校でも剣道部に入り、今も続けている。
先日は1年生ながら都大会に出場。相手が強豪校だと知っても「負ける気はしない」と豪語。結果はあっさり2本とられたとの事だが、落ち込んでもいなかった。
大事なのは勝ち負けじゃない、「気合と集中力」だそうだ。
娘の剣道一直線の青春はまだ始まったばかりのようだ。
そんな娘に、家族に、感謝。
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