「実ほど頭を垂れる稲穂かな」(湘南あおぞら 倉重達也)

 今年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんの座右の銘が「実(みのる)ほど頭(こうべ)を垂れる稲穂(いなほ)かな」だという報道がありました。私は米どころ新潟で育ったせいか、この言葉は子どもの時から何回となく聞かされてきた気がします。

稲は実ほど穂が垂れることから、人も立派になればなるほど謙虚にならなければいけないというような意味ですが、なかなか言葉どおりにはいかないようです。政治家やスポーツ選手などの有名人のスキャンダルなどは、この諺がどんなにか難しいということの一例かも知れません。

 諺と言うのは、誰にでもメッセージが伝わりやすいように具体的なイメージが含まれています。この場合は、「たわわに実った稲の穂が、実ることによってその穂がだんだん垂れてくる」と言うことですが、よく考えて見るとこの情景は今の子どもたちにも通じるのでしょうか。この藤沢周辺でも稲田は郊外にでもいかなければ見ることのできない時代になりました。

数年前に若い職員に、「それじゃあ尻切れトンボだな~」と言ったら、「尻切れトンボって何ですか?」と逆に問い返されたことを思い出します。トンボも蝶も滅多に見ることがなくなり、いろいろな思いに捕らわれました。

吉野さんは「頭を垂れる」だけでなく、まだ実りをつけていない若いときは「シャキッとして」頭を垂れてはいけないとも言っていましたが・・・。

以上

第47回写真.JPG

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