日記
新聞の折り込み広告
緊急事態宣言が発出する中、街を歩くのもはばかる日が続いたが、"社会"を見る窓はいろいろ。新聞の折り込み広告を見ながら"社会学してる"と話す人がいる。確かに折り込み広告は巷を読む格好の材料のひとつ。
土曜日は新聞の倍以上の厚さで織り込まれるのが日常で、ほとんどがスーパーなどの特売広告。カラフルで華やかな紙面だ。"ポイント5倍!"などの誘い文句は、業態や会社の特徴を現す。しかも季節感満載。
一方、日曜日は求人が中心。土曜日と違い地味で必要要件を漏らさず書き込む小さな枠が並ぶ。公務員時代は見なかったが、求人している事業種は...?最低賃金を超える業界は...?効果的なキャッチコピーは...?など見る角度は多様。立場が違うと見方が違う。
このチラシが3月、4月とどんどん減った。土曜日の買い物情報は激減。スーパーではポイント5倍の日を中止した。いわゆる"3密"を避ける配慮と判る。求人広告に至っては全くなくなり、緊急事態宣言以降の最悪の経済事情も反映する。
求人の情報源は、公的機関のハローワーク、インターネット、新聞の折り込み広告などだろう。かつては新聞に掲載する会社があったが、新聞よりネット情報と言う人が増え見かけなくなった。若者はネット情報を駆使しており、最近はウェブ面接もある。そんな時代に新聞の折り込み広告は...。
採用側は新卒者を中心に考えがちだが、最近はミスマッチがあるようで入社直後から転職を考える人がいる。だから"第二新卒"という言葉が定着した。これらの若者はネット情報中心で、新卒も第二新卒も折り込み広告は見そうもない。
ではチラシの役割は...と改めて見ると非常勤、パート、臨時職員の求人が圧倒的。確かに非常勤希望者には折り込み広告を見て応募する人が多い。事業内容の下調べもホームページと言う人もいるが口コミが多いようだ。PC環境がどこにでもあるわけではなく、年配者にはPCに苦手意識が強い人もいる。
世界は疫病対策が終わると新時代に入ると歴史が示しているそうだが、今回も新時代に向かうと話す識者が多い。その通りだろうが、そこに結びつかない人たちもいる。それは世代の特徴、経済事情、生活環境などさまざまな要素が絡んでいる。
障害福祉は、長い間"うち(在宅)に居ますか?"それとも"施設(入所)に入所しますか?"の二者択一しかない時代が続き、在宅を選んだ人はサービスが無かった。障害者総合支援法で選択出来る時代が来たが、選択するほど種類はない。さらに重要なことは、選択した経験がない現実。特に"入所!"と話す人に多く、その人たちには選択する情報が少ない。あふれるネット情報の中で暮らす人もいるが、ネット情報を持つ環境にない人のために、どこで、どのように情報提供しているのだろう...。緊急事態宣言の最中、新聞の折り込み広告の激減を見て、社会福祉サービスの広報を想う...。(2020‐6②)