日記

マスク

緊急事態宣言の中、人込みを避け運動量確保の散歩に出かけると誰もがマスクをしていた。三密を避けるなどの感染予防は、飛沫感染が分っていたからマスクが効果的だと知っていた。その時よりはるかに感染者数が増えた今、街を歩くとマスクをしていない人がいる。なぜかわからないが電車の中も同じ。

 先日、必要に迫られてバスに乗り、優先席に座ると飛び乗った女性が前に立った。空席はあったがソーシャルディスタンスを意識してか、その場所に留まった。見上げるとマスクをしてない。息が切れ、咳をし始めた。さすがに気になったがどうにもならない。(相手への迷惑は考えていないかな...。)

 アベノマスクを見ることはまれだがマスクは実に多様になった。黒マスクの人を見ると香港の民主化運動に賛同しているのかな...と思う。休日に黒マスクをしてみたが、顔を覆う様子が歴然とするので気恥ずかしくやめた。しかし、最近のマスクは色だけでなく模様や形が様々で、手作り感があるものなどファッションアイテムになったようだ。

 暑さも伴いマスクをしない人が増えたが、国立感染症センター忽那医師がハムスターの実験で①感染したハムスターもしていないハムスターもマスクをしないと667%の感染率、②感染していないハムスターだけマスクをすると333%、③感染したハムスターだけだと167%まで下がった由。だからマスクは感染予防の必須アイテムだ。

 それぞれに事情があるだろうが、ほとんどマスク姿の利用者を見ない。なぜ...と不思議に思った。なかには重症化する可能性がある疾病の人もいる...。入所施設は家庭機能に近いのでマスクをしない。だが、買い物のときなどは...。生活介護や就労支援の場では...。利用者には必要ないとは言えない...と思うと一層理解しにくい。もちろん、熱中症対策や必要のない場ではつけないが、職員がマスク姿の場で利用者はしないのはどうして...

 だから、障害特性で"マスクが出来ない人がいる"と考えた。無理強いしてパニックになっても仕方ないので、感染の可能性を極力避け徹底した予防対策をした場で過ごすのが賢明。だが「出来ない人」の判断は何処で誰がしたの?その根拠は説明できるの...

 この答えはマスクをするかしないかではないと気が付いた。それは私たちの中に"やっても出来ない..."が充満していること。家族に"グループホームで暮らしませんか..."と投げかける時、家族は出来ないのではないか...と不安になる。やってみないと分からない...などと話す私たちも同様に"出来ない"を前提にした支援をしていないか。障害者が"私たちに危険を冒す自由を下さい!"と宣言したことを思い出した。言語化できにくい利用者は、このような発信はしないだろう。しかし、たとえ言語化出来にくくても、利用者の"心(考え方、意思)"を理解して向き合うのが本当の支援ではないか。出来ないことを前提にした支援は、"お世話"の域を超えておらず、プロの支援(ケア)と言うには随分とさみしい...。(2020‐8②)