日記

言葉

 若い職員と話をしながら言葉が通じないなと感じることが増えて来ました。最初に意識してから、もうかれこれ10年ほどになります。

 ある職員の仕事にたいして、「尻切れトンボだなあ」、とぽつんと感想を洩らしたら、それ、何ですか?と聞き返されました。中途半端と言う意味ですよと教えてあげましたが、仕事のことよりその言葉が通じないことにすっかり考え込んでしまいました。

 大阪に出張して「とんぼ返りで帰ってきた」と言うのも通じないかも知れません。「蕎麦屋の出前」もダメでしょう。

 仕事に関してのこんなちょっとしたやりとりで戸惑うことが多くなりました。

 それとは少し違いますが、意味は通じても言うのに憚れる言葉やフレーズがあります。

 例えば、思いつくままに挙げれば、「根性」、「若い時の苦労は買ってもせよ」、「歯を食いしばって頑張れ」等々。

 こう並べて見ると努力を促す言葉ばかりが出て来ます。

  「お前は根性がないなあ」と言ったら意味は通じるかも知れませんが、今の若い人はきっと落ち込んでしまうでしょう。その前に「お前」が問題になります。本来は尊敬語でも今は相手を見下した時に使う言葉に変化しています。

 「死に物狂いでやれ!」と言ったら今の時代、これはもうアウトです。その通りに受け取りかねません。

 「歌は世につれ、世は歌につれ」と言いますが、言葉ないし慣用句というものは確実にその時代を映している鏡だと改めて感じました。

2023101日 理事長 倉重 達也