日記

「実践報告会」

 先月の21日(土)に今年で5回目になる法人内事業所の実践報告会を「意思決定支援~当事者目線の支援とは~」と題し、多摩大学の校舎を借りておこないました。

その時に冒頭でお話したことを今回は掲載したいと思います。

「意思決定支援~当事者目線の支援とは~」

 今年で藤沢育成会は法人設立35年になります。

今回、この実践報告会を迎えるに当たって、高山先生の事前研修や今日の実践報告の事前の資料を読み返してみて、今、痛切に反省していることが一つあります。

 それは、藤沢育成会の歩みを説明するときに、藤沢育成会は「親の会」が母体になって出来た法人なので、そうした「親の思い」がたくさん詰まった法人です、そのことを忘れずにいてください、と言うのを強調しすぎて来たのではないかと言うことです。

 「親の会」が資金面でも実際の申請書類においても大変苦労して法人の設立に尽力されたことは間違いのない事実であり、その「親の思い」は大切にしなければいけませんが、今日の実践報告会のテーマにもあるように今の時代は違います。「親の思い」から「本人の思い」へ変わらなければいけません。

 そのことは、また、「職員の思い」から「本人の思い」でもあります。

 さらに、それに付け加えて「本人の思い」と言った時に、「個人の尊厳」と言うことが、その根底にあると言うことも同時に考えなくてはいけません。

「一人の人間の命は地球より重い」と言った政治家がいましたが、最近のウクライナとロシアの戦争やイスラエルとハマスの紛争などを考えると人の命が軽んじられていると思わざるを得ません。

個人の尊厳と言うことは「一人ひとりがかけがえのない存在」であると言うことです。今は地球自体が軽くなったのか、「個人主義」や「個性」と言うことは言われても「個人の尊厳」が叫ばれることが少なくなりました。

 「利用者一人ひとりが何者にも代え難いかけがえのない存在」と言う「個人の尊厳」を認めてこそ意思決定支援がますます生きてくると思います。

本日の実践報告会が、「当事者目線の支援」と合わせて「個人の尊厳」と言うことも皆さんと一緒に考えることができる機縁になれば良いと思います。

以上

追記 当日は東洋大学教授高山直樹先生に報告に対する講評を頂きました。「アンコンシャス・バイアス」や「弱い紐帯」、「主体性」から「社会性」へなど大変有意義なお話を伺うことができました。この場を借りてお礼申し上げます。