日記
「相模原障害者施設殺傷事件から5年・・・」 (湘南だいち・法人本部事務局 / 課長 宗像 喜孝)
コロナ禍で迎える夏休みも今年で2年目となりました。先日、息子が「ペットを飼いたい」と言い始めたのですが、我が家はマンション暮らしでペットは飼えないため、自宅のベランダでミニトマトを育てることにしました。この夏休み中、「ミニー」と名前を付け、ほぼ毎日自分で水やりや傷んだ葉を取るなどの世話を熱心にやっています。現在では、立派な実を沢山つけ、元が取れるほどの収穫が出来るようになりました。このコロナ禍で子どもたちが夏休みらしいことを経験出来ずに、何かと制限がありつまらない夏だと感じていると思いますが、いつの日か、「ミニー」との出来事を思い返し、微笑ましく家族で話せる日が来ることを祈っています。
さて、相模原市にある県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件が起きてから、7月26日で五年が経ちました。8月1日には、新しく再建された園で開所式が行われ、仮住まい先で生活されていた入所者約50人が新生活を開始しました。12月からは、仮居住先の芹が谷地域において、定員66人の「芹が谷やまゆり園」が開所されます。
事件が起こった日のことは今でも記憶に鮮明に残っています。当時、「津久井やまゆり園」と同じ、法人内の障害者支援施設で管理職として働いていました。起床してから、あることもないことも、これから起こるであろうことが目まぐるしく頭の中を駆け巡り、平常心を保つことだけを繰り返し繰り返し唱えながら、通勤したのを覚えています。植松死刑囚は、元施設職員ということもあり、職場でも類似した事件が起こらないか、今まで一緒に働いていた同僚、部下すら、事件を起こす可能性を考えざるを得ないと内心思うこともしばしばありました。
事件から5年・・・。この間、極端な議論も含めて多くのメディアで取り上げられ、国や各市町の自治体、民間団体等が事件を受けて、様々な取り組みがなされてきました。しかし、この事件で一番大切に取り上げられるべき、障がいのある当事者の生活において、目に分かるようなQOLの向上がなされたでしょうか。個人的には、事件において、当事者も含めてそれぞれが自分なりの考えを持つこと。そして、事件を風化させずに皆で議論を止めないことが大事だと思っています。是非、この5年を節目と捉えて、職場や仲間同士など、色々な場面で、この事件について議論してみてはいかがでしょうか。
10月から小田急江ノ島線の長後駅から徒歩3~5分の場所に、新規生活介護の事業所として「湘南ジョイフル」がオープンします。「障害があってもなくても当たり前の生活が、地域で送れる社会の実現」と「画一的ではない、当事者本人のニーズに合わせた多様な生活の在り方をサポートできる事業所」を目標としています。職員間でもこの事件について議論し、感じたことを日常のサービスに生かしていきたいと思います。
(写真)収穫時期の「ミニー」
この記事を書いた人
今でも面影残る高校球児。第二の故郷、屋久島のアウトドアで鍛えられた鋼の肉体。育成会随一の「しゅっとした人」。地元ベイスターズの運営に関しては、辛口の批評家でもある。そして何より、愛妻家。