日記

~薬箱~(相談支援プラザ 一戸香織)

夏になると、外の暑さとエアコンで涼しくした部屋の温度差で体調を崩してしまいがちです。

私も先日実家に帰った時に鼻水が止まらず困ったことがありました。

母に薬はないかと聞いたら、「棚にある薬箱の中から選んで飲んだら」と言われました。

その薬箱は、私が小さかった頃から同じ場所にあったものでした。

子供の頃はどの家庭にも置き薬があり、私の家でも良く使っていました。

先に無償で置き、あとから使用分だけ代金を支払う先用後利(せんようこうり)と、いわれるやり方で富山の薬売りのおじさんが定期的に補充してくれていました。

母に「富山の薬売りのおじさんまだ来ているの」と聞くと「年2回、春と秋のいつも決まった頃に来てるよ」と言っていました。

私が小さかった頃から来ていたおじさんが今も来ていると聞きびっくりしました。

学校から帰って来ると、5円玉が下に貼り付けられた起き上がりこぼしの風船があると、おじさんがきたのだとうれしくなったことを思いだしました。

その風船には、必ず一言書いてありました。

子ども心に良い事が書かれていたような気がしていましたが、書かれていた一言は残念ですが思い出せません。

「ちょっとした時にはありがたいのよ、薬箱が置いてあるとね」そんな母の言葉を聞いて、おじさんに久しぶりに会ってみたくなりました。

でも会うには、年2回の春と秋におじさんが来る日と私の帰省が偶然に重ならないと会えないのです。

40年以上も変わらず来てくれるおじさん。

母とおじさんとの付き合いこそ本当の意味での長いおつきあいと言えるのではないでしょうか。

帰省して同じ場所であたりまえのように待っていてくれた薬箱は懐かしい思い出をよみがえらせてくれました。

体調に気をつけて夏本番を迎えたいと思います。

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待宵草(マツヨイグサ)
夕方から夜にかけて咲く1日花。何十年も前から変わらずに同じ場所で咲いています。

この記事を書いた人

一戸 香織

お米の産地で生まれ育ち、ご飯が大好き!おにぎりでお米の違いが分かります。微妙な力加減で、ふっくらとしたおにぎりを作れる事が密かな自慢。
具は大好きな梅干し!