日記

『偶発的動機、偶発的接点』( 湘南あおぞら・アポロ / 施設長 宗像 喜孝 )

アポロ
湘南あおぞら

 令和6年の1月に行われた「かながわ地域生活移行推進人材養成研修 フォローアップ研修」を受講した際に、「偶発的動機、偶発的接点」という言葉を講師の方から学び、それ以降、入所者の生活を考える上でのひとつのキーワードとしてよく使っている。

 例えば、「コンビニで買い物をしていたら、たまたま隣に居合わせた人が美味しそうなデザートを買っていたので、自分もつい購入・・・」、「たまたま通りがかった美味しそうな焼き鳥屋を見て、今日は仕事を頑張ったから帰りにちょっと一杯・・・」など、地域で暮らす人々の日常の中には、いつも通り見通しがあり、計画的に起こる出来事と、それと対照的に、偶発的な出会いや出来事が混在している。

 「そういった出会いを当たり前に経験することが出来、その人の偶発的動機を実現していくことができる環境こそ、地域でその人らしい生活を送るということではないか」と講師の方より話があった。また、「入所施設の入所者の生活を支援していく上で、そういった偶発的な社会との接点をどう支援していますか?」、「日々の入所者の偶発的な動機をどう実現していますか?」と重ねて問われ、今の湘南あおぞらの支援の現状を振り返った。

 さいごに、講師の方より、「毎日同じ生活のルーティーンの中で、入所者の方が「落ち着いて過ごすこと」を目標に生きていくことを何年も続けるという現状があるとしたら、それは見直すべきではないか」と問われ、「その通りだ」と思う反面、「どうしたら良いのか」と考えさせられることも多くあった。

 年齢や性別、趣味趣向、生活スタイル、職業、等々。障がい当事者の方々が、地域の中で、色々な人たちと偶発的に出会える機会があり、そこから刺激を受けた偶発的な動機を実現できる環境を想像し、現状の入所施設の入所者の暮らしの中で、少しでもそのポイントを支援できるように、職員全体で考える機会を設けていこうと思う。

 法人理念の①には、「地域で暮らす障害のある人・高齢者及びその家族があたり前の生活を送るために必要な支援を提供します。」とある。「地域で暮らす人のあたり前の生活」を具体化したひとつの目指すべき支援の方向性として、今後もこのキーワードを大切に考えていきたい。

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(写真)ふと「美味しい蕎麦が食べたい・・・」と思い、思いつきで週末日帰り旅行をする。

この記事を書いた人

宗像 喜孝

今でも面影残る高校球児。第二の故郷、屋久島のアウトドアで鍛えられた鋼の肉体。育成会随一の「しゅっとした人」。地元ベイスターズの運営に関しては、辛口の批評家でもある。そして何より、愛妻家。