日記
みらい社の施設長・課長日記
「パン工房 あゔにーる」はじまります(湘南セシリア、みらい社 /施設長 石塚 和美)
暖かな春の陽を感じながら、今年は例年よりも早い桜の開花となりました。
2020年度は、新型コロナウイルス感染予防対策を行いながら日常生活を送り、今年1月からの緊急事態宣言もようやく解除となり、ほっとした気持ちと同時に引き締まった思いで桜の花を見上げています。
藤沢育成会で唯一の就労支援事業所の「みらい社」。主に軽作業や施設外就労をおこなってきましたが、新しい作業としてパンの製造販売を始めることとなりました。一昨年度より計画していたパン工房。工賃アップや地域との繋がりを目的として、昨年よりパン製造販売事業を行うための具体的な販売計画をたててきました。1月よりみらい社の第2工場をパン工房にするための改修工事が始まり、3月中旬にオーブンなど機材の搬入も終わりました。4月のパン工房オープンにむけて、利用者・職員ともにパン作りの練習を行ってきました。
お店の名前は「パン工房 あゔにーる」。フランス語で「みらい」という意味です。新しい作業としてのパンづくりに取り組む利用者の真剣な顔、パンの焼きあがった時のうれしそうな顔。焼きたてのパンをたくさんの人に食べていただけるように、利用者・職員一丸となって取り組んでいきます。販売先は、みらい社、藤沢市役所分庁舎などです(詳しくはHP参照ください)。是非みなさんも焼きたてパンを買いに来てください。
『よもや よもやだ!』(みらい社 課長 大澤健二)
先日、ご高齢の男性を保護した。
その男性は、坂道のガードレールを伝いながら登っていた。
「●●時25分(たしか)、靴は履いている」と判断が迷う。
「外気温2度でジャンバー着ていない...」「散歩ではないな」。
近くの駐車場で方向転換。片側一車線の国道で、この時間でも車の量は多い。
私:「おじいさん、どこ行くの?」
じいさん:「もう歩けない」
私:「おじいさんさ、どこ行くのよ?」
じいさん:「ちょっと休むから、そこに座る」
私:「座る場所ないから、(壁)ここにつかまって」
おじいさんが壁につかまっている間に、警察へ連絡。
私:「高齢の男性を保護したので、パトカーで来て下さい。」
交換手:「住所はどの辺ですか?何歳ぐらいですか?」
私:「住所はわかりませんが、○○の交差点を△△方面に向かう途中の、タイヤショップがあって居酒屋があってバイク屋がある当たりの反対側歩道です。年齢はたぶん、80代後半だと思います。」
交換手:「わかりました。付近にいる警官を向かわせます。」
男性は長袖のシャツしか着ていなかった。
車からブランケットを出し、男性の肩を包んで上からジャンバーを掛け、歩道の生垣に座らせてもらいパトカーが来るのを待つ。
5,6分位して、2台のバイクで警官が到着。
パトカーではなかったが、早い到着で良かった。
警官①は若手で20代後半前、警官②は30代半ばくらいなのだろう。二人とも声も肌も若い感じがするが、明らかに警官②は先輩か上司なんだろう。
警官は、男性に色々質問するが、質問と答えは一致しない。当然だろう。
警官に家を聞かれた男性は、家を案内する事になってしまった。
「大丈夫かなぁ・・・」
男性に両手を前にしてもらい、私が両手で手を引く姿勢で移動する。男性はこの移動方法に慣れている様子で、腕への力の入れ具合は丁度良かった。
今まで保護してきた時の警官達の対応は、まずパトカーに乗せ2人のうち一人の警官が所在不明者の届がないかを署に問い合わせ、もう一人は要保護者の対応にあたるという連携。今回は様子が違う。
「そこが家だよ」「あれ、玄関がなくなっている」と、男性の言葉に合わせ「おじいさんこっち?こっちじゃないみたいだから、どこなの?」
「こっちだったけな」男性は案内を続ける。警察官はその通り家を探す。
15分位歩き、男性がいよいよ歩けなくなりマンションのエントランスに座り込んだ。
警官①:「おじいさん、ここは入口だからこんな所に座っちゃだめだよ。」
私:「おじいさん、ここ(エントランスの生垣)に座りましょうか」
警官②:「後は我々で対応しますので、お引き取りいただいて大丈夫ですよ。」
私:「ブランケットとジャンバーは、私の物をかけているんですが」
警官②:「持ち帰っていただいて大丈夫ですよ」
私:「いやいや、それじゃあ寒いでしょう」
警官②:「後はこちらに任せて大丈夫ですから、ありがとうございました。」
私:「たぶんトイレにしばらく行ってないと思うので対応して下さいね。よろしくお願いします。」
きっと大丈夫。
二人の警察官に後は任せ、その場を離れた。
「じいさん、大丈夫かなぁ。鼻水でてたしなぁ。」
心配ともやもや感の残る帰路。
われわれ福祉関係者は、対人援助職として、利用者、ご家族に『安心だね』や『大丈夫だね』を少しでも多く感じてもらえるような支援をしたいものだと思いました。
季節の中で 2(湘南セシリア・みらい社 施設長 石塚 和美)
早いもので12月。今年も残すところひと月となりました。
今年はコロナに始まり、11月には神奈川県知事が再度メッセージを発表しました。
感染拡大を防ぐため、「M(適切なマスク着用)、A(アルコール消毒)、S(アクリル等でしゃへい)、K(距離と換気、加湿)」の基本的な感染防止対策の徹底をお願いしますと記載がありました。
今年は、外出の規制や季節の行事も、中止や縮小などいつもと違う一年となりました。
その中で、小中学校では運動会や修学旅行のかわりにスポーツ大会や学校でのお泊り会など、みんなで工夫を凝らして考えたイベントを行い、忘れられない思い出を作ったのではないでしょうか。
法人としては、例年、利用者が参加するイベントを企画しておりましたが、今年は集まることができませんので、法人設立記念日にむけた11月16日から11月22日まで「いんくるウイーク」を企画しました。利用者・職員が協力して各事業所の動画撮影や法人のキャラクター「いくちゃん」の塗り絵やゲームなど作成しホームページに掲載したり公用車に掲示し「ラッピングカー」にするなど一体感をもつことができました。
湘南セシリアもなかなか外出できない中で、秋には焼き芋会やハロウィンなどを企画し利用者に楽しんでいただきました。また、季節の食材を使った松花堂弁当も楽しみのひとつです。掲載した写真は11月の松花堂弁当です。
今は年末にむけて、クリスマスの準備をしているところです。クリスマスメニューも今から楽しみです。
一年を振り返り、いろいろな気持ちで年末を迎えましたが、日本にはこんなにもたくさん季節を感じる行事があったのだなあと改めて思いました。そして、人との繫がりを深くふかく考えた一年でした。
皆さま、健康に気をつけてよいお年をお迎えください。
セルフ・ケア ~私の場合~ (みらい社 大澤 健二)
音楽はすばらしい。
嬉しい時、楽しい時、悲しい時、憤りを感じている時...。もちろん、そんな時に限っただけのことではありませんが、感情に合わせたように、私は音楽を聴きます。
私が聴く音楽の中で、たくさんの素晴らしいアーティストの中で別格であるのが『中島みゆき』さん。毎晩聴いていますよ。と言えるでしょう。
きっと『ヘッドライト・テールライト』『浅い眠り』『空と君の間に』『糸』という曲で知った方も少なからずいらっしゃるのではと思います。
私が初めて中島みゆきさんのCDを買ったのは、ジャケットタイトル『36.5℃』。
中学1年か2年だったと思います。衝撃を覚えました。
私には5歳離れた兄がいて、小学生中学年くらいから、さだまさしさんの『防人の歌』やH2O『想い出がいっぱい』、一世風靡セピア『前略、道の上より』、薬師丸ひろこさん『Wの悲劇』にワム『Freedom』にと、色々耳にする機会がありました。森昌子さんの『越冬つばめ』『立待岬』も実に良かったです。
さて、私はよく仕事帰りの車中で色々なことの振り返りをします。きっと今日も。
なかなか自分の思いや考えが伝えられないなと振り返る時には、『風の笛』『倒木の敗者復活戦』という歌がとてもとても心に響きます。たぶん、目頭がほんの少し熱くなっていると思います。だから車の中でしか聴かないのでしょう。
弱き命が虐げられたニュースを知った時は、『命の別名』や『顔のない街の中で』が心にとまります。これらは、悔しみ、無力を感じた時、感じている時に選曲しています。何度も聴きます。
私のセルフ・ケアは、意識をして何か行動し、改善したり回復のためのケアをするだけではなく、『中島みゆき』さんの歌を聴き、色々と頭の中でグルグルと自問自答したり深みにはまったりとしながら、ささくれ立った心や無力感を受け入れ自然治癒されていくことがほとんどです。何かが解決したわけではないのですが。
CQ/CQ...みなさんは、どのようなセルフ・ケアしていますか?
季節の中で (湘南セシリア、みらい社 施設長 石塚 和美)
4月7日の緊急事態宣言を受けて、宣言解除までの3か月間は利用者、ご家族、職員とともに新コロナウイルス感染予防対策や健康管理を行いコロナ禍をのりこえてきました。ご協力いただきました利用者、ご家族、職員、関係機関の皆さまに深く感謝申し上げます。5月25日にようやく解除となりましたが、7月17日に神奈川警戒アラートが発出され、新しい生活様式を取り入れながらこれからの日常を過ごしていきたいと思います。
このような中でも、季節は確実にめぐり夏を迎えようとしています。日常も少しずつですが戻ってきていると感じる瞬間があります。湘南セシリアでは七夕企画や前庭での夏まつりイベントの開催。みらい社は新しい作業種やサークル活動の取り組み方の検討など。
また、地域の中でも子どもたちの登下校時の元気な声や中学校校庭での部活動の朝練風景、道端の草花や生き物たち。自分とかかわりのない人やものからも元気をたくさんもらっていることを改めて感じました。
梅雨のあけた湘南の空を見上げながら、この夏は何をして過ごそうかと考えています。
『違和感に立ちどまれ』(みらい社課長 大澤健二)
こんにちは!みらい社の大澤です。
今回、『違和感に立ちどまれ』をテーマにエピソードを紹介させていただきます。
では、お付き合いください。
エピソード① 『深夜の停留所』
舞岡公園の森を抜け、私の住んでいる町へ続く帰り道には停留所があります。
深夜、その停留所のベンチに人影が・・・。
「ん?23:30を過ぎてるからバスなんてないなぁ」と、通り過ぎた停留所へ戻ると、おばあさんがベンチに座っていました。
車を停め、おばあさんに「もう、バスは無いけど何してるんですか?」と聞くと、「バスが来るのを待ってるんですよ」と。
「おばあさんさ、一人でここに来たんですか?」とまた聞くと、森の中の街灯を指さし「主人と一緒に舞岡公園に来たんですよ」「あそこに主人が見えるでしょ」。
その後、警察に迎えに来てもらい、私は自宅へ。きっと無事に戻るべき場所へ帰ったのでしょう。
エピソード②『二十歳です』
湘南ゆうき村からドリームハイツに向かう通りは、左右に畑が広がっています。
そして、両側の歩道には白い柵が長く続いています。
ある夜、車を走らせていると、おばあさんが白い柵につかまりながら、ゆっくりと一歩ずつ歩いていました。
コンビニで車の向きをかえて戻り、「おばさん、どこいくの?」と聞くと「家に帰るとこだよ」と。「おばあさん、家どこですか?」と聞くと、「深谷町です」と答えてくれました。
んー。・・・方向が違う。深谷町は、私の向かってた方向だなぁ。
「おばあさん、何歳ですか?」と聞くと、「二十歳です」。「おばあさんは二十歳なんですね。若いですね」。警察の車両が来るまで昔話を聞かせてもらいました。
エピソード③『迷子』
夏に、横浜駅のビアガーデンで旧友たち会う機会がありました。
私は、ちょっと遅刻して到着。横浜駅西口は、週末とあってやはり人通りが多い。
人と人がすれ違うあいだに、男の子がポツンと立っていました。ん?迷子だ。
声をかけると、「○○(弟)とおばあちゃんと来たけど、おばあちゃんたち居なくなった」と教えてくれた。「じゃあ、○○(弟)とおばあちゃんを見つけるから、おじちゃんと一緒におまわりさんの所にいって、△△君は待ってようか」。手をつないで交番に行き、状況を伝え○○とおばあちゃん探しへ。居た!きっとこの人だ!
「△△君のおばあさんですか?」そう声をかけると、その通りだった。
おばあさんに状況を伝え、一緒に交番へ。「△△君。おばあちゃん見つけたよ」と声をかけ、私はその後、旧友たちが待つビアガーデンへ。
気持ちのゆとりに左右されず、違和感があると気になり立ち止まる性分を大切に持ち続けていたいと思い書きしたためました。