テロリストに射殺された英国の女性議員の意思を継ぐ"ジョー・コックス委員会"の検討を受けて社会的孤立の担当大臣が置かれた。これにはイギリスの高齢化や社会的不適合等で孤独に悩む人が急増した背景がある。"社会的孤独者"とは何かはまだ吟味が必要のようだが、社会問題に真摯に立ち向かう姿勢が伺え、社会的孤独の担当大臣はどんな手法があるか...。極めて難しい取り組みが求められるだろうが社会保障・社会福祉の領域とつながっていると思った。翻って日本の社会問題からは孤独死、引きこもり、不登校、ニートなど社会的孤独者につながる課題が山積している様子が考える。例えばCSWが必要とされた課題の一つであるゴミ屋敷の住人もその1人。
縁側事業の終了時刻に集る知的障害者がいると聞いた。グループホームに住むこの人たちは、帰っても独りだから帰る気になれず縁側事業にくる。これは"ニード"だと思った。でも、どうして自分の住まい=自室ではだめなのか...。一番くつろげる場所は自分の部屋だと思うと不思議な現象...。グループホームではダメ?...。しかしグループホームに暮らす人は誰も入所施設に帰りたくないと言う。だから間違いなくこれからはグループホーム中心だと思っている。それが間違い...。いや、そうではない。それが"社会的孤独者"。彼らのニードは"住まい" としての居場所ではない"居場所"。
人は生きていくためにいろいろなものが必要。すでに「衣食足りて礼節を知る」と言う時代ではなく"家族機能の外注化"の時代は、家族内人間関係も希薄化し1人の時間が増えた。だから"居場所"を求め右往左往。隅に追いやられた人は人間関係の充足感が弱く、集団の中で孤独になる。優位な立場の人は、優位性を誇示したいがために素知らぬ顔でやり過ごす。学校内では成績優秀児、会社内では上席者、業績優秀者などと評価は多様化の時代と言いながら思考を停止したかのように単一化した状態があり"居場所"のなさを痛切に感じる。知的障害者が社会で就労する時、誰からも見放されている可能性は否定できない。だとしたら彼らの"居場所"はどこなのか...。グループホームと言う"住まい"は、彼らにとって初めての"個別化"="それぞれのマイライフ"ではあるが、それが"孤立化"=社会的孤独者にする可能性を否定できない。
イギリスはビバリッジレポートを生んだ国。社会福祉・社会保障の根幹は今もこれが基本。ご存知の"ゆりかごから墓場まで"。その国が高齢化現象や人間関係の希薄化と言う社会問題に、世界に先駆け政治的課題として取り組み始めた。それは"インクルージョン藤沢"を具現化する時"それぞれのマイライフ"に取り組むことを示唆している。それぞれのマイライフのテーマに"居場所"を作る課題を加えたい。(2019.1)
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