朝の情景 (湘南ゆうき村・植村  裕)

毎朝、車での通勤時間は自分にとって私生活から仕事モードへ気持ちを切り替える時間となっている。なかなか気持ちを整理しきれないこともあるが、そんな時、気分を和ましてくれる人たちがいる。それは車中から見かける幼稚園バスを待つ父子である。長身で作業服をきた若い父親がかがみこみ、園児服を着た4~5才の男の子に寄り添うようにしてバスを待っている。時速40kmで通過する一瞬であるが、印象深く残る情景なのだ。こどもに寄り添う父親の姿は愛情にあふれ、こどもをとても大切にしているのが伝わり、心にしみるものがある。世間では子供の虐待が毎日のように報道され、殺伐とした現実があるが、この親子を見るたび、ほっとし、うれしい気持ちになる。

先日、ここを通った時、父親を見かけないことがあったが、母親らしき女性がベビーカーを引き男の子とバスを待っていた。4人家族なのだ、きっと素敵な家庭なのだろう、と勝手な想像をした。

親子は当然私のことを知らないし、恐らく私と話をすることもないだろう。そして、ここでバスを待たなくなる日が来るのもそう遠くないと思う。私の一方的な関係であるが、この親子にさわやかな気持ちにしてくれて、ありがとうと言いたい。

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