1971年の作品で「小さな恋のメロディ」という映画がある。一言でいうとおとなの価値観とこどもの価値観の対立を描いたものである。挿入歌ではビージーズの「メロディフェア」が有名であるが、映画のエンディングに流れるクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(CSN&Y)の「ティーチ・ユア・チルドレン」が印象に残った。それからCSN&Y の音楽が好きになり、40年以上も聴き続けている。2年ほど前にメリル・ストリープ主演の映画「恋するベーカリー」の挿入歌で彼らの「青い目のジュディ」が使われ、ファンとしてとてもうれしかった。
「ティーチ・ユア・チルドレン」の歌詞の内容は映画「小さな恋のメロディ」と同様に、親と子、おとなとこどもの断絶をテーマにしている。特にこの時代のアメリカはベトナム戦争などで国内が激しく揺れ動いており、相容れられない価値観を持つ親の世代と子の世代に問いかけた歌である。いつの時代も親の子に期待する夢と子の夢には隔たりがあるが、親が子を、子が親を愛していることは変わらない、ことを伝えている。私自身、当時は詩の意味も分からず聴いていたが、親子の断絶・葛藤を多少なりとも経験してきた現在では心打つ詩のひとつとなった。なお、室矢憲治氏の名訳をここに掲載いたしたい。(「ティーチ・ユア・チルドレン」はCSN&Yのハーモニーもすばらしい曲なので、古い曲ですが、ぜひお聞き下さい。)
きみよ、旅をするならきみは
自分が生きていくための掟を持たなくてはいけないよ
つまり自分自身になることさ
だって、過去はただのさよなら、グッバイだもの
子供たちにちゃんと教えよう
父さんたちが通りすぎてきたひどい地獄のような日々のこと
そしてたくさんの夢を与えながら育てていこう
子供たちがどんな夢を選ぶか、それはいつかわかること
どうしてって子供たちに尋ねてはいけないよ
もし答えを聞いたら、きみは泣き出すかもしれない
だから、そっと彼らを見守り、ため息をつくだけ
だいじょうぶ、子供たちはきみを愛しているから
きみよ、甘くやさしい日々を送っているきみ
おとなたちが感じてきた不安なんて知るわけもない
だからどうかきみがその若さで彼らを助けてやっておくれ
死ぬ前に自分の人生に真実を見つけようと格闘する彼らを
親たちにちゃんと教えよう
子供たちのひどい地獄のような日々もじきに終わる
だからたくさんの夢を与えながら育てていこう
子供たちがどんな夢を選ぶか、それはいつかわかること
どうしてって子供たちに尋ねてはいけないよ
もし答えを聞いたら、きみは泣き出すかもしれない
だから、そっと彼らを見守り、ため息をつくだけ
だいじょうぶ、子供たちはきみを愛しているから
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