青い鳥を探して(10) (事務局・増田 達也)
 

120808 02.jpq.jpg私が最も尊敬する方は、仲人をして頂いた長沢 巌牧師です (写真の隣に女房も映っていますが、掲載許可は得られませんでした)。

 

他の方から聞いて知ったのですが、学生時代、先生は東京大学、東京神学大学で1,2を争う成績だったそうです。そんな大天才なのに、偉ぶったり誇ったりされることは全くなく、いつでも誰に対しても分け隔てなく穏やかで、「柔和」という言葉は先生のためにある言葉だと思ったほどでした。

 

残念ながら、お元気な頃のお付合いは4年ほどで、先生は、脳腫瘍の手術が上手くいかず、ほとんど意思疎通が出来ない、全介助の寝たきりの状態になられました。でも、何も語られなくても、先生のそばにいるだけで、お元気な頃と同様に心が安らぎました。先生のお姉様は知的障がい者(とても天真爛漫な方でした)で、先生がよく仰っていた、「何かが出来る出来ないではなく、人間は存在自体が尊い・・・」(当たり前のことかもしれませんが、お互いの存在を尊重できない当たり前でない世の中だから、差別・偏見、憎しみが満ちているのだと思います)ということを、寝たきりの先生から、改めて身をもって教えられました。

 

2007年1月、この世の勤めを終えて、先生は天に帰られました。

亡くなられてから一年後にご夫人にお会いした時、「振り返ると、長沢は重い障がい者の立場に立つために、自ら望んで障がい者になったのではないか、と思えるのです」と言われ、大変衝撃を受けました。私の狭い思考範囲では、自ら望んで障がい者になろうとするなんてあり得ないですし、また「障がいを甘く見るな!」と受け取る人もいるのではないか、と思ったからです。でも、身をもって「存在の尊さ」を教えて下さった先生ですし、24年間いろんな思いを抱えながら、壮絶な介護生活をされた後のご夫人の深い思いは、その通りかもしれないと思いました。

 

私は、この世の勤めを終えてあの世に戻ったら、まず先生にお会いして、「自ら望んで障がい者になられたのかどうか」を伺いたいと思っています。きっと生前の物静かな優しいまなざしで、真剣に耳を傾けて下さると思いますし、いつの日になるか分かりませんが、先生との再会を楽しみにしています。

 

※ご夫人が主筆された「シリーズ 福祉に生きる 58 長沢 巌」(大空社)という著書があります。

 

▼生後すぐの我が家の長女に、優しいまなざしを注いで下さった先生ご夫妻

  おかげさまで、優しい娘に成長しました。

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