東京がエジプトで熱いということで久しぶりに上野の森へと足を運ぶ。「TUT ANKH AMUN」そう、"ツタンカーメン展"。前回は1965年ということで実に47年ぶりに日本にやってきた。2004年にスイスのバーゼルを皮切りに世界各都市を巡回し、いよいよ東京が最後という。しかし、自分は大混雑と大渋滞が大の苦手。しかも異常な暑さ。だが、元々、スピリチュアルでミステリアスな古代エジプト文明には強く惹かれるものがあったので、それを象徴とする造形美術を見逃す訳にはいかない。そして、この機を逸したら、もう一生見られないかも・・・ということでミーハー覚悟の重い腰を上げた。
9月に入るも残暑厳しき某日、ペットボトル片手に入場券と整理券を手にして待つこと数時間。いよいよ整理されたグループが一塊になって会場に入り、少しずつ歩を進めていく。意外だったことは、王の装飾品や副葬品がガラス越しだが間近に展示してあったため、一点一点、確り見ることができた。3,300年前!!人間、生まれ変われるとしたら何十回だろう?この頃、日本は縄文時代だが、同じ古代でも金銀の秘宝や絢爛な調度品など発掘されていないので石器や土器のイメージしかない。全122点の内、印象に残ったものは何点かあるが、目玉として出展された黄金のカノポス(ミイラにする際に取り出した肝臓を保管する器)はともかく、金枠に色とりどりの石を埋め込んだ王の胸飾りは霊力ありそう。いつもの事だが、黄金でなくてもステンドグラスか何かでダミーアートを作ってみたいなどと不謹慎な思いに駆られる。対になって展示されていた王の立像は少しアフリカン。玄関にでも据えれば、類まれなる格調高きオブジェとなる。そして、日本でいえばお地蔵様のようなシャブティ(墓に埋葬された人型)などは保存状態がとてもよく、損傷も少なくて当時のままの状態ではないか!?と思う。湿気によって物が腐食する環境だとこうはいかないだろうが、カラカラ天気とミイラをイメージすれば頷ける。出展されたものは、ほとんど原型をとどめているので、3,300年前の"まさにその時"が時空を超えて忽然と目の前に現れたという錯覚に陥り、自分が本当に古代エジプトにいるという不思議な気がした。出展品全て隈なく見終わるには小一時間かかったが、思わずもう一度逆戻りして初めから!と考えたら出口の外にいたので後の祭り。帰り道はファラオの呪いと熱気でフラフラしていたが必見の価値ありだった。
▼写真1:
緑に輝く有翼のスカラベはフンコロガシと呼ばれるコガネムシの一種。隕石が地球に衝突した際に自然に形成された天然のガラスで作られ、復活する王を意味するそうだ。
▼写真2:記念の土産。ピラミッドパワーで問題解決を試みよう。
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