「指で考える~高田博厚~」  (湘南あおぞら・倉重 達也)

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 「JR藤沢駅の改札を出て小田急百貨店側に向かって歩いていくと突き当りの正面に屈み込んだ女性のブロンズ像がある。サンパール広場に向かうと「さいか屋」に面したところに女性の立像がある。高田博厚の彫刻である。

 高田博厚は17歳年長の高村光太郎に友と認められ、30歳を過ぎてから妻子を残して渡仏、第2次大戦をはさんで約30年近くフランスに住んだ。その間、ロマンロランや、アラン、ルオーと親交を結び、彫刻はロダン、マイヨール、ブールデルの強い感化を受ける。また、その頃のフランスの知性と芸術の香りを日本に発信し続け、日本の芸術家、文学者に強い影響を与えた。影響と言うより羨望と言った方が近いかもしれない。

 戦後十数年経ってから帰国して、晩年は鎌倉の稲村ケ崎に住んだため湘南地方で高田博厚の彫刻と出会うことが意外と多い。

 「指で考える」とアランに評された彫刻家高田が最も大事にしたものは思索と行動の一致だろう。一致というより「ものなしには考えない」態度と言った方が良いかもしれない。芸術家が作品を通してか物を考えないというのは考えてみれば当たり前だが、高田はこの「行動なしには考えない」と言うことをフランスでの長い経験を通して体得してきた。「観念から作品ではなく、作品から観念へ」。このことはキリスト教的絶対神とか自我ということと深く関わりあってくるのだが、残念ながら今の私にはうまく説明できない。冒頭の彫刻を見て感じてもらうか、興味のある方は直接高田博厚の著作を読んでいただきたい。

 ところで、もう一つ藤沢駅の近くにブロンズ像が立っていますがどこにあるかわかりますか?

 

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