「A君とお出かけ」 (みらい社・植村  裕)

東海道腺.jpg 近所に住むA君は私達が引っ越してきたときは小学校に入学したばかりで、大きなランドセルを背負い登校する姿が印象的だった。現在は中学2年生となり、もうすぐ私の背を追い越しそうである。家族との交流もあり、ときどき食事やバーベキューを一緒にしたり、親しくお付合いをさせていただいている。先日もA君と妹と二人で作ったカレーをご馳走になった。心のこもった、おいしいカレーだった。

 A君は鉄道が大好きで、将来は電車の運転手になりたいそうだ。そこで昨年この日記にも掲載した横浜にある「原鉄道模型博物館」に誘ってみることにした。親戚でもない、おじさん(おじいさん?)と二人で行くのはどうかな、思春期の少年だし、などと心配していたが快諾してくれた。土日は部活があるので、お盆休みに行くことになった。

 

 当日は早めに迎えに来てくれて、私が支度をするのを待ってくれた。期待に応えて楽しい一日にしたいと思った。

最寄の香川から相模線で茅ヶ崎に出た。茅ヶ崎から乗り換えて東海道腺で横浜まで行くのであるが、A君は東海道腺の種類や止まる駅など、私にも分かるよう丁寧に教えてくれた。私はかつて東海道腺と横須賀腺の運転線路の分離が行われる前、乗車率200%と言われた東海道腺の朝の混雑の様子を話した。30年以上前であるが、満員のためつり革につかまろうとするが、つかめないと手を下ろすことができず、手を挙げたままの状態でずっといたり、列車のトイレの中にまで乗客が4人ほど入っている有様だった。その混雑の話に彼はびっくりしていた。

 

 博物館に着くと開場前にもかかわらず人が並んでいたが、中に入ると比較的空いていた。A君は原氏の膨大なコレクションの中から好きな模型を時間をかけ、食い入るように見ていた。私にもいろいろ説明をしてくれた。そして彼も巨大なジオラマには驚かされたようだ。スケールの大きさと模型の緻密さ、昼と夜が交互に変わる細かい演出など興味深く鑑賞していた。ここで2時間余りゆっくり過ごし、中華街で昼食を食べることにした。

 中華街には横浜からみなとみらい線を利用するが、3月の東横線渋谷駅の地下化やそれに伴う5社相互直通運転の話題に花が咲き、到着した電車が飯能発の快速急行だったので、さらに盛上った。中華街での食事後、ベビースターランドに寄りラーメンの製造過程を見て、できたてのベビースターラーメンを食べた。その後、しばらく中華街を散策し帰路についた。

 帰りの車中、疲れたのかA君は暫し居眠りをしている。彼の寝顔を眺めながら、今日は楽しんでもらえただろうか、こんな風に私と付き合ってくれることも高校生になったらないだろうな、などと想いをめぐらせてみた。

 

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