「花子とアン」は、31年前の「おしん」以来ハマったNHK朝の連ドラでした。
原作「アンのゆりかご」との違いを比較しながら見ていましたが、原作・ドラマの両方に登場する花子さんの恩師ミス・ブラックモアの下記の言葉が心に留まりました。
「・・・最上のものは、なお後に来たる。
・・・人生は進歩です。最上のものは過去にあるのではなく、将来にあります。
・・・旅路の最後まで希望と理想を持ち続けて、進んでいく者でありますように」
ひねくれた読み方をすれば、「最上のもの」は「旅路の最後」に来るのでしょうか?
明日何が起こるかは誰にも分らないですし、志半ばで理不尽な「旅路の最後」を迎えることもあるので、旅路の最後に、「ありがとう」「ごきげんよう、さようなら」と言えること、「最上のもの」を迎えることは非常に難しいと思います。
最上のものが来る『未来』を信じることが出来れば、取り返しのつかない過ちを犯した『過去の悔い』や、つらく悲しい事で満ちた『現在の苦しみ・不安』を克服することが出来るのでしょうか?
私の妹は障がい者ですが、知的に遅れがあることが分かったのは妹が3歳、私が中学生の頃でした。
その時の私は、事態を十分把握できなかったせいもあると思いますが、「何とかしなければ、と必死になったり・・・」「何故自分の家族が・・・と落ち込んだり・・・」というような、人生や価値観が一変した記憶がありません。知人から「神様は耐えられない試練はお与えにならない」と言われて励まされたことが、わずかな記憶として残っています。
でも、花子さんはご長男を5歳で亡くされた時、当初、「神よ、我はかかる痛手に耐えうる勇者にあらず、離れ去りたまえ」と言われたように、「神様は耐えられない試練はお与えにならない」という言葉は、励みになる場合とならない場合があると思います。ですから、この言葉は、障がいや病の渦中にある方々の苦しみが軽減されることを願いつつも、慎重に言わないといけないだろうと思っています。
今の自分は・・・と言うと、学生時代に先輩から「仕事でも家庭でも障がい者と接していると、息が詰まるかもしれないよ・・・」と言われ、京都の家を出て静岡の施設に就職し、以来今も妹とは年3~4回しか会わないせいもあり、両親が年老い、妹の将来を考えると、暗澹たる気持ちになります。中学生の時に励まされた「耐えられない試練」とは思えず、ミス・ブラックモアの言われた「希望と理想」よりも、「不安」の方が圧倒的に大きくのしかかっています。
「果報は寝て待て」と言いますが、逆に「果報は、たゆまぬ努力のたまもの」と聞いたことがあります。
子供たちの将来に希望があることを願うだけ・・・、自分の将来に対しても不安を抱くだけ・・・、ノープラン、ノーチャレンジ・・・では希望は実現しない、大事なのは「ドリームよりアクション」ということでしょうか?
それとも、「アクションよりドリーム」の方が大事なのでしょうか?
いずれにせよ、「最上のものは、なお後に来たる」という言葉は、信じるか否かという二者択一の問いとして、今の私に鋭く迫ってきています。
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