施設に通う妹は、ある時、工賃が1万円から6千円に減ったのですが、「増えた!」と喜びました。お札が1枚から2枚に増えたからです。こんな価値観で生きていけるのも、ある意味幸せかな~と思ったのですが、尊敬する方に笑い話のつもりでこの話しをしたら、「私も、1万円札だけより、小銭がたくさんある方がリッチな気がします」と言われました。妹の場合は単に増減が分からないだけですが、やはり、人格者の価値観は違うんだと思いました。
社長をリタイアして育成会に勤められた職員から、「私のように、利益社会で本音や弱さを隠し、法律ギリギリのところで競争相手と戦ってきた人間にとっては、福祉の世界は全く回心の時でした。生活と仕事を一つにすること、仕事の中で自分の本音や弱さを正直に表すことを学びました」と言われたのですが、食うか食われるかの世界に身を置いたことがない私は、この言葉にすごく新鮮さと重みを感じました。
先々週の施設長日記でも植村さんが記事を書かれましたが、私も、先月、「アラヤシキの住人たち」というドキュメンタリー映画を観ました。スクリーンの中では大自然の中でゆったりとした時間が流れていて、別世界に紛れ込んだようでした。特に、住人のミズホさんが、雪かきで、スコップを雪に入れて止まってしまうシーン・・・、余分なナレーションが入らず、「映像トラブルか・・・?」と思うほど「間」が空くのですが、何かすごく深くて大切な「間」だと感じました。このゆったりさ、豊かさは、住人さん達の『自己主張しつつも、相手を攻撃・否定するのではなく、多様性を受け入れ合う』という「一生懸命さ」に基づくのだろう・・・と思いました。また、経済社会、効率主義と一線を画し、いつの時代だろう・・・とさえ思いましたが、『豊かさ』という観点から言えば、むしろ、時代の最先端をいくのではないか・・・と感じました。
6千円より1万円の方が価値があるでしょう。
また、競争社会で切磋琢磨することによって文明が進歩してきたのでしょうし、私も能力によって開発された利便さの恩恵を受けています。
でもアラヤシキの住人の方々を見て、能力主義が間違っているのではなく、能力主義が、能力『万能』主義になってしまうことが、逆に本当の『豊かさ』から遠ざかってしまうのではないか、と改めて思いました。
▼下記は、昨年の、女房の実家での草刈り【ビフォー&アフター】の一部です。
草に悩まされている方には申し訳ないですが、
「冬でも生えていてほしい!」と思う位、草刈りが大好きです。
映画の中で草刈りシーンが出てきて、「やりたい!」と思いましたが、
今年はまだやれていません・・・。
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