五島列島の旅③ (湘南セシリア・みらい社 植村  裕)

 2016/1/12施設長日記(http://www.f-ikusei.or.jp/archive/leader/2016/01/post-203.html)からの続き。

 

 いよいよ23日の旅の最終日となった。美しい海に臨む小串郷の宿を後に矢堅目の塩工場に向かった。矢堅目は五島列島の北部に位置する上五島の奈摩湾の入口に位置し、その昔、奈摩湾に侵入してくる外敵を見張るために、矢(守備兵)で堅()めたことから矢堅目と名付けられたそうである。見学した「矢堅目の塩本舗」では海水100%で昔ながらの製法で、直火焚きの釜で一昼夜かけて煮詰める作業を繰返し、全行程にかかる日数は2週間で、結晶化した海水塩はミネラル豊富なまろやかな味である。

 次は旧鯛ノ浦教会である。明治3年の鯛ノ浦6人斬りで知られるように、他の五島各地と同じようにキリシタンの弾圧が行われたが、信徒の信仰は篤い。敷地内に聖地ルルドを設け、優しく慈愛に満ちたマリア像が祀られている。また、旧聖堂の鐘楼は原爆で崩壊した浦上天主堂の被ばく煉瓦で造られ、資料館として保存されている。続いて、住民が一軒をのぞいて皆キリシタンだったという頭ヶ島へ向かう。五島崩れの時、信徒は牢から全員逃げ出して島を離れ、迫害が終わってからこの地に戻ってきたという。頭ヶ島天主堂は砂岩の石造りの重厚な教会で、内部は随所にツバキなどをモチーフにした花柄模様の装飾があしらわれ、「花の御堂」と呼ばれ、大変美しい。

 予定していたすべての教会への訪問も終わり、佐世保にフェリーで行くため、有川港に向かった。有川では昼食に五島うどんを食べた。五島うどんは自生するツバキから取れる油を使用し、コシの強さと独特の風味があり、あご(飛び魚)から取った出汁で食べるのだが、プルンとした滑らかな食感がおいしかった。食べ物ではやはり魚やイカなどの海産物が新鮮で美味である。刺身は新鮮すぎて私には硬く感じるくらいであるが、地元の方にはマグロのように柔らかいものより、歯ごたえのあるものが好まれているようだ。

 あっという間の3日間であったが、歴史ある多くの教会を訪ねることができ、良かったと思う。五島列島にはキリシタンたちの壮絶な弾圧と悲劇の歴史があるが、彼らの祈りは脈々と現在に受け継がれており、私はその祈りの尊さに心を強く打たれた。 完

 

▼①矢堅目の塩

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▼②旧鯛ノ浦教会

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▼③旧鯛ノ浦教会お御堂

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▼④旧鯛ノ浦教会お御堂

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▼⑤旧鯛ノ浦教会のマリア像

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▼⑥頭ヶ島教会

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▼⑦頭ヶ島教会

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▼⑧頭ヶ島教会お御堂

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