「鹿馬」の縁
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このエッセーのタイトルの鹿馬は馬鹿をミスタッチしたわけではありません。

昨年10月末と11月初めに日大六会のキャンパスの一角をお借りして、ポニーの体験乗馬を実施しました。

このイベントには日大の小林教授のゼミ生や馬術部を中心に学生さん達が40人近く協力していただき、子供たちが馬に乗るのを手伝ってくれました。

イベントは大成功、はじめは嫌がっていた子供でも一旦馬に乗って歩き始めると、たちまち表情が変わりニコニコ笑ったり、普段は声をほとんど出さない子がうれしそうに声を出したりして、付き添ってこられた親たちもビックリでした。

私は過去に何度か障がい者乗馬をやっているのですが、いつもは犬や猫を見てパニックになる子どもたちが馬に対してはこのような反応をすることがほとんど皆無であること、短期間で良い効果が表れることを経験して、藤沢育成会でも障がい者乗馬をやれたらいいな、それも藤沢でやるなら日大の先生や学生さんと一緒にやりたいなと思っていました。

たまたま私は2足のワラジで、もう一つ地域交流センターというNPOにも関わっていて、こちらでは4年前から鹿の被害を防ぐために山梨県、長野県の7市町村と一緒に鹿被害対策プロジェクトをやっています。

いま全国各地で鹿は増えすぎて、農作物や森林に大きな被害を与えており、シカを減らすことが必要なのですが、昔と違ってプロのマタギのような猟師がいないこと、農家のお年寄りがワナを仕掛けたりするのですが、慣れていない人が多く危険でもあるので、このプロジェクトでは鹿を柵の中に誘導して一網打尽にする生け捕り方式を考えました。

日本のシカの専門家のほとんどは、『神経質なシカが簡単に柵に入るわけがない』と否定的でしたが実験してみると、ちゃんと柵に入ってくれました。この方法に関心を持ってアドバイスして下さった研究者の一人が日大の小林教授だったのです。先生は海外の研究者とも交流をしていて、欧米やオーストラリアでは鹿の生体捕獲(柵を使った生け捕り)は良く行われており、そのシカを飼ったりしていることを良くご存じだったのです。

そこで小林先生にダメもとでと思って障がい者乗馬の相談をしたら、先生もこれについても以前から関心を持っておられたとのことで話がトントンと進んで、日大で障がい者乗馬をやることになったわけです。この事業はうまくいきそうなので来年度は毎月1回やるための準備を進めています。

つまりシカのご縁が馬につながったというわけです。

モデラートという藤沢育成会のニュースレターの私のコラムのタイトルは「縁尋機妙」ですが、まさに至言だと思います。その意味は?インターネットや四字熟語辞典で調べてください。

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