年末の新聞記事に「2月に藤沢市の国家戦略特区で、初めて客を乗せた実習実験が始まる。」とあった。見出しは"自動運転 未来への前進""無人タクシー地域の足に"。インフラが弱まり日常生活が危うい地域があるようだ。"インフラ"とは「産業や生活の基盤」。同じ頃の「経済気象台」には、"無人で走るバス・タクシー"とあった。電車やバスなどの公共交通がない地域ではタクシーが必要だが台数を増やすと経営が成り立たず"交通弱者"になるとあった。インフラが弱まる地域には"交通弱者"がいる。交通弱者は買物も通院もままならない。日常が成り立たない地域では人口増が見込めない。そこで"国家戦略特区"での実験を生かしてこのような地域にインフラの再整備を行なおうということのようだ。
"少子高齢社会"が問題視されている。政府は希望合計特殊出生率1.8を掲げたが、現実ははるかに遠い。2014年で1.42。人口を維持するためには2.07と言われているから人口減少に歯止めはかかっていない。地方の"限界集落"は超高齢社会であり、暮らしにくさを解消するために"無人タクシー"を導入しようという考えが見える。だが、そのような地域は人口減少社会の中でどこまで存続できるのだろう...と考えてしまう。最近、県内でも郊外の一戸建てから駅近くの高層マンションに転居する人が増えたと聞く。利便性を考えるとマンション暮らしの方が楽だという話しも聞く。公共交通は、人と人をつなぐ道具だ。道具を使いこなすと便利になる。最近、コミュニティバスを良く見かける。高齢者は自分で運転するよりも公共交通を利用する方が安全だが、運営・経営面から考えれば非効率的で"公的"な支援がないと維持が難しい。公的とは公金=税金が使われている。税金が使われている公共事業と考えれば社会福祉も同じ。そして"人と人をつなぐ仕事"。
人と人をつなぐ仕事も人工知能(ロボット)の時代かと考えた。人と人をつなぐ仕事は、人と人の"心"をつなぐ仕事。"人"と言う文字は、お互いが寄り添っている姿を著わすという。寄り添いあいながら生きるのが"人間"。人と人の間=人間は、だからこそ"間"に人が介在して"ケア"する。"ケア"は"相互性"がある。相互性とは人と人の間を行き来する"心"。ロボットはどこまで人の"心"を斟酌することができるのだろうか...。ハルというスーツ型(装着する)ロボットが介護で使われていた。これは人間が装着するので介護する人と介護される人のコミュニケーションがあり"心"を交わせるだろう。最近、障害者自身が装着するものもある。補装具として人工知能と人が繋がり本人の意思に添って行動する。"ケア"と言う仕事から見ると機械が人と人をつなぐのを初めて見たのは理化学工業をたずねた時。川崎にあるチョーク工場を訪れた時の衝撃は忘れられない。ベルトコンベアは人間を機械のように歯車の一つにすると考えていたが、そこではまさに"人と人をつなぐ"道具として生きていた。どうやったらこのように障害者が生き生き働ける環境を造れるのかと尋ねると、大山社長(現会長)は"私は経営のプロですよ、貴方は社会福祉のプロですよね。"ときっぱり。道具を使うと便利になる。それぞれのプロが行なうと何かが際立つ。社会福祉の仕事≒障害福祉の仕事は"日常"を支えること。プロが行なうと"日常"が際立つとはどのようなことになるのか...答えはまだまだ先にあるようだ。(2016.2)
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