おさ'んぽ①

 運動不足を解消するために歩くようになってほぼ10年が経つ。常勤職退職を機会に時間をかけて街を歩こうと思い立ち藤沢駅まで。北口近くの郷土史を多く置く古本屋に立ち寄り、ダイエーを通過してデニーズを横に曲がると「神奈川県聴覚障害者福祉センター」がある。土曜日の昼下がり、ロビーには誰もいない。食堂兼喫茶店もしまっている。掲示板を見るといくつか会議をやっているが、事務所以外に人影を見ない。ロビーには聴覚障害関係のビデオやCDが並び、画面には手話講習らしい映像が流されている。一般にも公開しているようだが...。パンフレットには①講座の開催、②手話通訳者・要約筆記者養成講座、③聴覚障害児の指導などの事業が紹介されているが今は行っていないようだ。
 聴覚障害者福祉センターは昭和55年設立以来、時代の変化と共に事業内容を変えたが、一貫して聴覚障害者や関係者の"たまり場"として機能してきた。今は当事者団体が県から指定管理を受けて運営している。聴覚障害は"見えない障害"と言われ、理解されにくい障害とされている。聴覚障害団体の式典に参加する機会を頂いた時の経験を思い出す。周囲は全員手話を話すが、私はまったくだめ。和やかに語り合う周囲に取り残され、参加できない自分に気が付いた時、何とも言えない疎外感を感じ、これが障害...と感じた。障害という言葉がたくさん使われるようになったけど、障害を実感することはなかなかできない経験...などと思い出しながらロビーを出た。
 藤沢小学校に抜けて旧東海道を渡り、白幡神社に向って歩くと次第に低層の住宅街になるが、交差点近くで再びのマンション群。市民病院に隣接する保育園を見つけた。同じ社会福祉法人経営の保育園は土曜日で子どもたちは少なかったが楽しげに遊ぶ姿があった。社会福祉法改正で経営陣は新たな課題を私たちと同じように抱えているのだろうと想像する。1時間ほど歩いただけなのに、藤沢の町の今と昔の交錯する街で社会福祉の事業所が息づいている姿を見た。(2016.4②)

▼旧東海道案内板
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▼保育園から市民病院を望む
保育園から市民病院を望む.jpg

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