言葉にすることも出来ない...と思っていたが、事件の翌日、全国手をつなぐ育成会連合会が「障害のあるみなさんへ」というメッセージを発信した。親であるからこそのメッセージは"安心して、堂々と生きてください。"とあった。温かいまなざし、しゃしゃり出ない支援などの力強いメッセージにこみ上げるものがあった。ご家族はいわれない凶行に怒りや憤り、悼みや不安...さまざまな感情が収拾のつかない状態で、ないまぜになっていると思う。"そうだ、そうなんだよ!"と思う感情は、これまでの歩みを肯定し、更なる歩みを約束するものと思った。亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆さんに心よりお悔やみ申し上げます。また関係者の皆様のご心痛にお見舞い申し上げます。これからの検証を自らもつぶさに検討し、今後も支援の質を高める努力を惜しまないことを深く心に刻みます。
これまで私たちは、障害がある人たちと共に暮らすことの出来る地域社会をめざして歩み続けてまいりました。人類の長い歴史をたどると、障害者をないがしろにする時代は、とてつもなく長く続きました。生きる術も見いだせない時代、侮蔑の対象だった時代を経て、保護し教育を施せる時代になったのはほんの少し前のことです。第二次世界大戦中のナチスドイツが行なった大量虐殺は、障害者安楽死計画から始まっています。そのゲットーを体験したバンク・ミケルセンが提唱したノーマライゼーションは、施設を見学した時の"ゲットーとおんなじだ!"の叫びから始まりました。戦後、国連は多くの人権宣言、条約を締結、実践してきています。"合理的配慮"の言葉を定着させた「障害者権利条約」を日本は2014年に批准しました。そして2016年4月「障害者差別解消法」が施行されました。間違いなく社会は障害者と共に歩む道を選択しています。人々は多くの犠牲と深いいたみを負い続けながら、今日の1人ひとりを大切にする社会を作り上げてきました。1人の蛮行によってくつがえされるものではなく、人類が選択してきた確たる道のりです。
(福)藤沢育成会はご家族の皆さんの願いが結実して今日を迎えています。その願いの中核はロゴマークにある"インクルージョン藤沢"です。これまで積み重ねた法人の歩みは、障害のあるご本人、お母さんを筆頭にしたご家族のみなさん、応援していただいている多くの地域の皆さんによって支えられていることを忘れることはありません。私は全国手をつなぐ育成会連合会のメッセージに大きな声で賛同の意を表し、"安心して、堂々と生きてください"と言う言葉を、障害のある方たちに止まらず、ご家族、地域の皆さん、そして職員1人ひとりにも届けたいと思います。たゆまぬ努力は、いま花開こうとしているのです。おくせず、ひるまず、ゆるぎない確信を持って。(2016-⑧)
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