おさ'んぽ⑦

 湘南台は大学が多く若者の街のようだが、高齢者の多い街でもある。小田急江ノ島線と横浜市営地下鉄、相鉄いずみ野線が重なる。工事が遅れるようだが、いずみ野線が新横浜、日吉まで延伸されると新宿、横浜に加えて渋谷にもつながる交通の拠点。駅からほどなく住宅街。周辺には中小規模の有料老人ホームが点在する。地域の発展は私鉄3社が乗り入れるようになった1999年からで30年ほど経過した。当時住み始めた人々の高齢化と共に街の風景も変化したのだろう。商店街は地域住民の購買ニーズに応じて営業するから地域の変化に敏感。マーケット・リサーチは社会福祉の"ニード調査"だ。湘南台は懐が深い街だと思う。駅近くの商圏範囲、住宅街を超えるといすゞ。その周辺はまさに工業団地、中にごみ処理場もある。作られた街はさらに進むと大庭の住宅街。途中、スポーツ大会でお世話になる体育館等の施設群。遠いから歩くのは無理だと言われたが、歩いてみると3040分で目的のよし介工芸館に到着。

 童話作家・故黒崎義介さんの寄贈をもとに作られた施設。その遺志を継ぐ生活介護事業所は、利用者さんの芸術活動を支援することをコンセプトにしている。出入りする人々を穏やかな笑顔で義介さんの胸像が迎えてくれる。ちょうど実習中の学生が"アートスペースわかくさ"に向かうと聞いて、歩こうと考えていたが便乗させていただいた。藤沢の北部、用田に分場ができ、南部海岸沿い以外の市内全域を"インクルージョン"する基盤が整った。"わかくさ"は、明るく開放的な作り。すでに地域の方から"機織りを教えていただけるんですか?"との問い合わせを頂いたそうだ。自らの殻に止まらず、地域の方と共に育つことを願いたい。帰りがけ"アートスペースエクル"に立ち寄った。おなじみの絵画製作を見て、落ち着いた雰囲気の中で製作できる場は希少だと思う半面、もっと沢山の人に利用していただきたい...と。

帰り際、よし介の裏側にあるグループホームを拝見すると、築年数のわりに綺麗に使われている。かつて施設協の研修講座に"ハウスキーピング"があった。若い頃、利用者と一緒に良く掃除をやった。日常の選択は、その日常に責任を持つこと。障害当事者の住居は変化したが、暮らし向きの基本は変わらない。湘南台は、様々な風景を持ち、老いも若きも、そして多様な職業の人たちが暮す街。駅の反対側では大型スーパーの建設もあるようで、まだまだ変貌する様子。このような街にふさわしい障害福祉事業は、時代と共に地域の嗜好を見極め、それをニーズとして事業展開しなければ受け入れられない。難しさと共に興味深い"場"だ。(2016.10-

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