今年のプロ野球は、北海道日本ハムファイターズの日本一で終わりを告げた。この対戦は戦況以外にチームの考え方が興味深かった。
親が広島出身なので幼い頃から野球は広島カープ。かつて、優勝は夢のまた夢。性格もあるが、野球を見る楽しみは勝ち負けより戦術、戦略を見るのが好きだった。初めて優勝した1975年は兄たちと祝勝会をした思い出が残る。今年、25年ぶりにリーグ優勝。赤一色のスタンドがまぶしかった。誰がMVPなのか...?特別なヒーロー不在でも強かった。ご存知の黒田や新井は移籍組だが、カープで育ち、世界へ、他チームへ羽ばたき戻ってきた選手。しかも鳴り物入りのドラフト1位選手ではなく、黒田は2位、新井に至っては6位指名。入団後の人一倍の努力が実った。若手選手の多くがカープ一筋。猛練習に耐え強くなった。"市民球団"と言われ、市民からの「樽募金」で財政的窮地を脱し、唯一スポンサー企業なしで出発した球団の懐事情が要因にある。苦しい財政事情を逆手に取り、地域に密着した球団運営がカープの特徴だ。広島球場では赤一色の応援が壮観だ。
一方、パリーグは北海道日本ハムファイターズ。栗山監督5年目。"栗山が監督?"と思う人選だったが、一貫したチーム作りで2回目の優勝。栗山監督は北海道栗山町に野球場を持つ。地元に密着し、地元に愛されるチーム作りで東京を拠点にした時代より観客動員数を増やした。少し前の四番・稲葉が打席に立つと"稲葉ジャンプ"で札幌ドームが揺れた。また、今年の主力は外国人選手以外全員チーム生え抜き選手。トレードやFA等で移籍する時代に非常に珍しい。スカウトディレクター大渕隆さんの記事があった。早大で野球をやったが卒業後は郷里の高校教師に。その後、転身して現在に至る。プロ経験はない。スカウトの信条は"グランドだけでは人間の本質はつかめない。"で、"若者の岐路に立ち合い選択をサポートするのは教師と同じ"と話す。また"サイレントK"と呼ばれる選手がいる。石井裕也投手。彼は聴覚障害者でほとんど聞こえない。プロの世界では想像を絶するハンディだろうが、中継ぎ投手として貴重な存在。彼がアマ時代からのスカウト活動が活躍を引き出していると言われている。
社会は疲弊している、とりわけ地方は。政府は地方創生大臣を任命し地域発信に必死。その中で今年、プロ野球は広島と北海道がリーグ優勝。しかも選手ひとり一人を大切に育てた結果の優勝。私たちの法人は藤沢市との"地域密着"が特徴。地域を愛し、法人で働く誇りがもてる"人材育成"が未来を創ると自覚したい。(2016.11)
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