「預け先ないから作る」の見出しに誘われ記事を読んだ。茨城県ひたちなか市で多機能型重症児デイサービス「kokoro」を運営する今野さんは2人の重症児の母親。病院勤務の看護師だったが、子どもの預け先がなく自ら事業所を立ち上げた。"子どもたちの居場所を作りたい!"が具体化した。鹿児島では"私に何かあったらこの子はどうなるのだろう..."と思って生活支援センターを立ち上げた和田さんが市内に3施設を運営する。放課後等デイサービスは全国に1万か所あるが重症心身障害児を受入れる場は364か所、0.36%。それなのに医療的ケアを必要とする子どもは全国に1万7千人いるとあった。全国重症児デイサービスネットワークが支援する事業所160か所、そのうち家族主体の事業所は23%、NPO法人が62%。"運営はゴールではなく、スタートだ""親が運営するという実態はそれだけ施設が足りず追い詰められてのことだ"と。
昭和54年、障害児の義務教育が始まった。しかし当初、送迎は中学校まで。高等部は自力通学が入学条件で、多くの子どもたちが行けなかった。その後、親たちの運動で自力通学できなくとも高等部入学が可能になった。その頃、重症心身障害児たちは通学を許されず、教師が家庭や施設を訪ねる「訪問学級」だった。肢体不自由児が地域の学校に通うようになると、次第に重症児を受け入れるようになり医療的ケアが問題になった。県教委は養護学校に看護師を配置した。一方で、体制が整わず福祉関係の障害者事業所は受入れられなかった。制度がなく、医療スタッフを常置するのは困難だった。
この状況は、高等部に全員入学できた頃に似ている。当時は、卒業後の日中活動の場≒居場所が親たちの最大の課題だった。そこで県内の親たちが考え出したのが"地域作業所"。その一つが星の村作業所。今から40年前の話である。星の村作業所を作り出した親たちは、それで満足することなく事業を展開し10年後に社会福祉法人藤沢育成会となった。最初は"湘南セシリア"。それから30年。時代の変化に添うように、利用者の成長に合わせるように、新たな事業を展開し今日の藤沢育成会がある。発言が難しい障害当事者の代わりにいつも親たちが発言、活動して未来を切り開いた。各地域で始まった重症心身障害児の居場所作りは始まったばかりだが、将来を感じさせる活動だと思った。今年、県教委は特別支援学校の看護師が普通校に訪問し、医療的ケアの必要な子どもの支援をする検討を始めた由。また、一つ風穴があいた。知的障害児のサービスもまた、次の風穴をあける必要がある。だから一緒に活動しませんか。(2017.8)
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