仕事はチーム力と思った頃に考え始めたのが人材育成。本当は知識やテクニックではなく"人間力"。社会福祉は結果が出てからのサービスが特徴。それはセーフティネットだから止むを得ない。例えば"虐待"への対応...。PTSD等の課題をもってからのサービス受給にならざるを得ない。日本は「児童虐待防止法」「DV防止法」「高齢者虐待防止法」「障害者虐待防止法」と4種の虐待"防止法"があるが"予防法"はない。虐待だと判っても、"いた(痛・傷・悼)み"を目前にしても"関わりたくない""風評被害を受けたくない"...など見て見ないふりをする人もいる。不十分な現状が考え方を歪ませる現実を現場と行政の往来で感じていた。
一方、社会福祉現場の力量不足を実感せざるを得ないこともあった。今も過去も大学で学ぶ社会福祉はソーシャルワーク一筋。だが、現場では直接援助一筋。若い頃、大学で学んだことなど話題にもならない現場でギャップを感じた。施設で必要なのは療育技法。これが時代と共にオペラントだ、ドーマンだ、ティーチだと変化し、これまでの療育技法が否定され新たな技法が中核となる。利用者は変わらないのにどうして変わるか判らない。なぜ積み重ねないのか...。だが支援にもトレンドがあり今は"自己決定支援"。言葉の意味は判るが本当は非常に難しい。多くの障害当事者が自己表現を苦手としている。だから自己決定支援と言いながら家族と相談しただけ...などもある。本当はもっと奥が深く、本人の生いたちや家族の状態等から本人の意思が見えるようになり支援が決まる。それはソーシャルワークと療育技法、そして制度の相関だ。
このプロセスが"みる"と言う漢字で説明できる。最初は「見る」。"足"と"目"を使って見る。以前に児相は"ケースウオーカー"、生活保護は"計算ワーカー"などと揶揄されたことを思い出す。次に人物像を"みる"。しっかりと本人を「視る」。注視するのである。その人自身が判っても見立てるためにもう一度「観る」。生活環境等を概観。するとその人だけでは難しくともサポーターを見出すこともある。そこでやっと「診る」。その人の状態像を考える。児相では"社会診断"と言った。今は"アセスメント"。そして最後が「看る」。ようやくケア=支援≒看護となる。こう考えればソーシャルワークのプロセスであり、支援のプロセスでもある。概観する時に社会福祉制度も視野に入れる。社会福祉は総合的に社会を"みる眼"を養うことと判る。だから総合力=人間力の仕事だ。奥の深い仕事を選んだものだといとおしくなるし、プライドを持って従事できる。長い人生で自分磨きも出来たと思うと感謝だ。この仕事を選んだことの幸運をかみしめている。(2018.3-②)
=追記=
自分の歩いた道を再考し社会福祉のあゆみを考えた。歴史は年代や事件を知ることではなく、過去から現代、そして未来を考えるためのものだから流れを大切に書いた。未来は若い人たちのもの。それゆえ過去から見える事実を参考にしていただけたら幸いです。
次年度は法人設立30周年の年です。そこで"インクルージョンへの旅"とします。
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