最近は官僚の公文書改竄、隠蔽、セクハラ等で騒がしい。公僕が国民の側に立つ姿はなく、ひたすら保身、あらぬ方に向かっている。公務員の頃、考えたことが様々な"ちから"で歪んでしまう経験もしたが、こんなに本質を見失った行為は見たことがない。言葉を弄し言葉が躍り言葉が本質を見失わせる。人が何かを語る時、言葉がその人を伝える。人は言葉で自らのありようを表す。その時の"言葉"は、単に言語ではなく日常的な行為や価値観等を表現する。だから発する言葉を前後の行動や態度から何となく感じるものだ。
すでに熱は冷めたが、平昌オリンピック金銀メダリストの小平奈緒選手の特集記事が3月末に出た。見出しに「言葉は成長の種 世間に流されず 心の芯に忠実に」と。銀メダルの韓国選手を抱き、なぐさめ、たたえあったシーンが浮かぶ。小平選手は世間を気にせず、自ら望んだコーチの大学を選び、卒業後も同コーチのもとで自分磨きをした。多くの選手がエリートコースを選び企業に所属する中、地元の病院に頼み込んで所属。まさに"自分流"の人。スタートのポーズも少し違う印象だったが選手生活も違うようだ。"自分に勝つ"ための強い意志がみなぎっている。インタビューにそれが表れている。例えば「友情というきれいごとだけではなく、2人で積み上げてきた絆があります。」「金メダルは名誉だけど、どういう人生を生きていくかが大事。」。さらに言葉の存在を問われ『明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ(ガンジー)』を示した後「こうした言葉に出会うと自分の中に種をまかれたようで。自力で解釈し、行動に移して、その種にも成長させることにも楽しみを感じています。」と。また、指導者となった時「置物みたいな言葉じゃなくて動きのある言葉で、心の中でまた違った動きをして、子どもたちの考え方が広がるきっかけになればいいな」と。
まだ若い人がストイックに追い求め、その重圧に耐え自らに課した結果、花を咲かせるはずだったがなかなか成就できない現実があった頃の交流が韓国選手との"絆"。それでも自らを見失いがちな葛藤を振り払い"強い欲消えていた 不安や重圧なく まさに無の境地"がメダルにたどり着かせた。自分流を貫くのは時に不安で、時にエゴイスティックになりかねない。自分を見失わない強さが必要。穏やかで、物静かで、恥ずかしがり屋の彼女からは想像出来ない凄さが伝わってくる。「自分で選んだ道を歩んできたからこそ、ゆっくりだけど着実に自分の成長を自分自身で確かめてこられました。」と。職業も人生のパートナーも、居住の場も自分で選べたことがとても幸せに感じた。女子マラソン銀・銅メダリスト有森裕子の"自分で自分をほめてあげたい!"は有名だが、内包する覚悟を見失っていないか。選択した己に課せられるミッションを見失っていないか。自由を享受する時の責任を自覚しているか。そう考えると冒頭の官僚の狂乱が情けない。今やるべきことの輝きは、自分の覚悟やミッションへの姿勢、責任も包含する。言葉はこれまで培ったものが反映する"心"の発信と自覚したい。(2018.5)
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