"危険を冒す自由を下さい!"という言葉の考え方はまだまだ色々ある。人が危険にさらされているのに、黙って見ていられない人たちが多くのケアワーカー、ソーシャルワーカー。自己決定支援だからと言って、危険を回避させようとしない人はいない。でも、当事者は必至にやってみようとする。自己決定支援を考えると実に多様な状況が想定される。
例えば、ルールを守れない障害者がいる。ルールを守ることは地域で暮らすためには最低限必要だ。なぜなら社会的ルールを守らなくて良い人はいないから。でも、ルールが理解できず障害の特性が故に守れない人がいる。子どもの頃からルールを守れない人を"障害児だから..."とあきらめる様子が見える。どうだろう...と、考え込む。多動な人が高齢者になっても多動のまま暮らす人を見ない...。「強度行動障害です」と言うが、いつ頃まで症状があったか判らない...。元々強度行動障害とは、現象を見た結果でラベリングした。それは、現象であって原因ではない。更に多くが幼児期からの療育にあらがった結果でもあり"二次的障害"と言われる。障害要因を一次的障害と言い、環境因子等による行動障害(特性)が二次的障害である。そう考えると、ルールを守れないから...とは、"仕方がない..."と言っているにすぎない。それは"障害者だから仕方がない..."となり障害者の可能性を否定している。
"Aさんは○○だから"と言う人の横で、他の支援者がいさめるとしぶしぶでも従っていることがある。ダウン症の方は固執するから仕方がない...と言うが、受け入れる容量が無いのではなく少ないだけ。だから障害特性や個性を知る必要がある。利用者は支援者の個性をしっかりと見極めて応じている。相手によって応じ方を変えている。それが自分を守るすべだから、感性豊かに情報を集める。答えを一つにしたがる現代人は、○か×で判断したがるから、利用者が言うことを聞かなくても徹底的に追い詰めて"ダメなことはダメ!"と言い続け答えにしてしまいがちだがそんな話ではない。その人の許容範囲と理解範囲、そして社会の受け入れ容量などを勘案した内容を見出さなければならない。それは答えではなく"応え"である。梅干をつける時の塩加減である。梅の出来具合、その土地の気候風土、毎年の天候の変化などを勘案して塩を加減し、腐らないように、塩っぽくならないように"塩梅(あんばい)"する。とても難しく"勘"が働かなければできない。"勘"を頼りに支援"案"を作る。つまり利用者の様子を"勘案"する。それがアセスメント。そして一度出した答(応)えがいつまでも通用しないから常に"勘案"しなければならない。再アセスメントだ。仕方がない...とあきらめた支援は障害者差別だとは言わないが、本人が秘めている可能性を見捨てている...と言いたい。社会に当り前のように存在(インクルージョン)するとは、この"勘案"した支援が必要なのだと自覚したい。(2018.7)
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