インクルージョンにふさわしい支援は"相手に寄り添う"と考える。"寄り添う"と言うとその人の思い通りにしてあげることと誤解する。知的障害者は自己表現が苦手だと誰もが知っている。私たちが自己表現しがたい時のもどかしさとは全然違う。なぜなら、少なくても私たちは表現する手段を知っているから。不十分なら十分になる方法も知っている。だから出来ないのではなく"しない"ということ。努力をしても出来にくい人と出来る人との違いは、想像するよりはるかに違う。
視覚障害者が、見えないことによる不利益や表現しきれないことと、私たちが見えることをどう表現したら判ってもらえるかと腐心することが違うのは分るが、知的障害者の自己表現が苦手ということを同じだと考えるのは違うと思う。だから、それを棚上げする行為が受け入れられない。支援を仕事とする人の中に自分の弱みをさらけ出し"おんなじだね..."と安堵する人がいるように思う。それは決定的に違うことなのに、同じにしちゃうことで安堵感を得ようとする人に義憤を感じる。何故なら障害者を盾にして自分の弱みを守ろうとしているからだ。
プロの"支援"は何が違うか...と考えてきた。この仕事を選んで良かったと思いたいから"支援のプロ"としてのプライドを持ちたい。判ったふりをして教科書的発言をするような"プロになったふり"はしたくない。だから、お隣さんの善良な人とは違った"支援"を求め続けたい。そんな時、考え付くのは行為としての支援は変わらないが、行為に至るプロセスに注目すれば良い...と考えてみる。支援を必要とする人は、相手によって手伝って欲しいことが変わるはずがないから、支援と言う行為は変わらない。変わるのは人と人=支援者と利用者の相関関係が反応しているからであって、それ以上でもそれ以下でもない。だから行為に至るまでのプロセスで、求める支援を"斟酌"することが大事。"斟酌"は推し量ることと考えれば自己表現が苦手な人の本当の考えを斟酌することになる。だからどうしてもその人を理解しなければ出来ないから、ケースヒストリーを知る。パーソナリティーを知る。だからソーシャルワーク技法を駆使する。
ソーシャルワークでは評価はしない。だがアセスメント(評価)が求められる。それが"勘案"する必要性。その人の様子を"勘案"出来る支援は"斟酌"していることになる。それが支援を受ける人が受け止めやすい支援。だから、支援はとても変化しやすくデリケート。判っているようだが判らないまま障害特性に添った支援をするとうまくいくことがあるが、次にやろうとするとうまくいかず混乱する。それはたまたま出来ただけで本当に相手を勘案出来ていないだけ。だから、プロならその人をしっかりと理解してから支援すべきだ。これが偶然、出会った場ですぐにプロの力を発揮出来ない原因だが、そのことが一層プロと思われにくい。やっかいなことだ。だから、インクルーシブな街にするためには長く時間をかけなければ出来ないのだと思う。(2018.10)
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