昨年は「法人設立30年」。記念3事業それぞれに特徴が現れ、職員、家族等の活躍、協力で終り深く感謝している。"法人の特徴が出ましたね...""インクルージョン藤沢に魂を入れてくれました!"などの感想をいただき利用者、家族、職員の協働の重要性を再認識した。見て頂いた法人の歴史は"ニーズ(必要)"になる前の"デザイア(願望)"、"ウオンツ(欲しい)"だった。それが今の障害福祉を切り拓いた。だが、現状は制度に充足し、とらわれ、逃れられない傾向にある。制度は必要だから人が作る。時代が変わり暮らしや価値観が変われば今の制度に充足できない。例えば児童福祉法改正時"制度疲労を起こしている!"と言われた。その頃、児童福祉法改正と共に子ども虐待防止対策がスタートし、社会福祉事業法が社会福祉法に改正され第4条に「地域福祉の推進」を明記した。その後、障害福祉は措置制度から支援費制度、障害者自立支援法、障害者総合支援法へと変わった。
"措置"は"行政処分"。サービスは受給者の意志ではなく社会的必要性に左右された。その頃"私の考えと違う..."と発進したのが当事者運動。藤沢育成会はこれが発祥の原点。だから当初は"あったらいいな...""そうあって欲しいな..."を実現するために"地域作業所"を創った。考えにくいサービスだったが、イノベーション(新機軸、技術革新)した。関係者は目もくれなかったが、次第に主流となり地域福祉を推進した。そこに措置から契約の考えが現れ、利用者主体のサービス形態が誕生。だから"措置から契約へ"は社会からではなく、"個人"から社会生活を考える姿を現す。加えて、措置から契約へは個=利用者から考えるだけではない変化もあった。それが社会福祉法人の運営、経営手法。措置では行政が示した通りの運営、経営を求められたが、契約への移行で一定の裁量が生れ、法人の特徴を示すことが出来るようになった。つまり、個性を発揮して選ばれるサービスを提供する必要が出てきた。例えば、放課後等児童デイサービス。1人で通えても送迎を求める親の強い要望...、長時間サービスが与える影響を考慮しつつどう折り合いをつけるか...など。サービス提供者は社会的役割と療育の狭間でアンビバレントになる。障害福祉のミッションを忘れたサービスは職員がストレスフル。でも、選ばれないサービスは存在しにくい。つまりサービス受給者が"個の尊重"を前提としたサービスにシフトすると共にニードを理解しミッションとの折り合いをつけなければならない。だから事業者がイノベーションしなければならない。故にサービス提供者として"措置から契約へ"を具現化しなければならない。それはニードに止まらず、ウオンツやデザイアを読み解くことから始める必要がある。だから法人30周年は未来へつなげる新たなスタートと考える。(2019.4)
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