忘れ物外来?!

一昨年、ヘルニアで入院し多くの方にご迷惑をおかけした。今も少しだけ残骸があり足腰の様子が気がかりだが日常生活に支障はない。年を重ね初めて衰えを感じたのは野球。ベース寄りのライナーを捕球したつもりで逃し、外野を転々とする打球を見て愕然とし"もう若くないな..."と思った。初の定年退職ではまだ若いと思いつつ"そんな年になった..."としみじみ思ったが"体力"的には年齢を感じなかった。だが、近ごろはそれ以上のものを考えざるを得ない。

 

 約束事や日程調整などこれまで大きな齟齬もなく出来たのはメモ魔だからだろう。忘れ物はまずなかった。小銭入れを落としてバスに乗ったことがあったが、どこでどのように失くしたか中身まで覚えていたが、最近重要なものを立て続けになくした。1つはUSB、そして銀行カード。USBは、講義用ノートで個人情報等はゼロなのであきらめられた。しかし、今後も続くのにノートをひらけないので不便でがっかりしている。だが、仕方なくノートを作り直し始めると、新しい考え方が浮かび、新鮮な話題を入れることが出来、紙ベースで残したものに従って始めると新たなもの作りになって意外と面白い。毎年見直ししているつもりだったが、それ以上の見直しとなったと感謝の気持ちさえ芽生えた。

 

一方の銀行カードは、小遣い帖のように使っていたのでひどい損害にはならないと自分を納得させたが、このようなものを忘れるのは実に恐ろしく、悔しい。数日、不安と共に探すが見つからず通帳で確認すると覚えのある残額がそのまま。失くしたカードを使った形跡は全くなかった。窓口で相談すると紛失届を出すことから丁寧に説明された。時にわずらわしさを感じるほどの説明は、近ごろの振り込め詐欺や認知症の方に説明する苦労を重ねた銀行側のマニュアル整備状況を見るようで興味深かった。手続きが始まるとベテラン行員から怪訝な顔で既に届があると告げられた。不思議に感じていたら警察からの通報で銀行が預金凍結した由。丁寧な説明と共に警察への持参品メモを渡された。次に警察で受取ったら通帳の凍結解除のために必要な持ち物をメモでもう一枚。どう見ても高齢者の私への説明は丁寧で判りすぎるほどだった。待つ間、何度か状況を説明してくれるのでいらだたずに待てた。警察でも同様で、自ら招いたこととは言え面倒くさいことをしているのだが嫌にならなかった。なるほど、これがサービスか...、これが対人援助の極意か...。これ見よがしではなく...、考え方を押し付けず...だと思った。一方で、年を取ることには抗えないと改めて感じ、ふさわしい暮し方をしなければ...と。だが、全盛期とのギャップを埋めるのは本当に難しい。認知症外来...、忘れ物外来...。そんなこと出来る訳ない!などと思ってしまう気持ちが判る...。それにしても銀行カードを届けていただいた方に深く感謝。世の中捨てたものじゃないな...と。(2019.6

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