格差社会のニーズを追う

 最近"ヒャッキン"によく行く。店舗数が多くなっただけでなく品揃えに驚きの商品が混ざりミステリアスだから。平日の昼間もレジは並んでいる。時折、利用者さんたちがにぎやかに買い物する姿も見る。最近のヒャッキンは食料品に力を入れているようで売り場面積が広くなっている。かつては安い労働力を使った粗悪品もあったが、最近は懐かしい銘柄も並ぶ。例えば東北のお土産の定番・南部せんべいはスーパー等では見ないが、ヒャッキンでは3枚入りの小袋がある。アイディア商品も。スプレー醤油さしは、醤油を控える人にお薦め。ヒャッキンでTV番組になるほどだから...と思う。とりあえず暮らせる品ぞろえは驚くばかりである。

 

障害当事者が"僕はヒャッキンでしか買い物が出来ない!"と訴えた姿を思い出す。毎日働いているのにヒャッキンでしか買えない。お金がないという訴えだ。そう、ヒャッキンがはやるのは品ぞろえだけでなく、100円の買い物しか出来ない人が買いやすい店舗ということ。便利で手軽、格安感は欠かせない要素だ。中には300円、500円商品もあるが、ほとんど100円。パンやうどんなど主食類も100円。

 

駅に向かう道にレストランが並ぶ。"ディナーコース5000円~"のメニューがある一方で牛丼や駅そばなども。食事も自分の財布と相談して店舗を選ぶ。また、和食、洋食、中華だけでなくエスニック、無国籍、創作料理など実に多様だ。一時は斜陽かと思われた"ファミレス"も花盛り。高級感を漂わせる〇〇に入ったら、すべて1000円以上のランチ。メインデッシュを選ぶだけでなく付け合わせや主食も選択できる。背もたれが高く個室を感じさせる4人テーブルで相席はなし。落ち着いた雰囲気でファミレスのにぎやかさはない。穏やかな時間を過ごしたかったので正解だったが昼食には少し高め...。一方、ランチ500円、ドリンク付きなら110円増のファミレスがある。昼もほぼ満席、夕食時になると待たされることが多い。200円弱からのメニューでバリエーションを楽しめる。中・高生、大学生、社会人、多様だ。酒を楽しむ人もいて、かつてのファミレス感覚はない。そこに小学生3人のグループ。長姉が仕切って食事を注文する。違和感が全くない。きょうだいか...、それとも...などと思いながら見るとダウン症児が一緒。何くれと長姉が世話する。ダウン症児の安心した様子は普段通りを思わせる。おせっかい心がす~っと消えた。食事が済むと本を読むなどして過ごしていた。長姉に携帯がかかるとそれぞれ身支度。わずかな時間で母親が来た。皆何を言われることもなく帰った。お母さんは食べないのか...おせっかい心がまた動く。シングルママが食事の時間に帰れず子どもにファミレスで食事させ、自分は仕事を済ませたようだ。ファミレスもヒャッキンも多様化の時代。その実、格差社会を表している。何を支援すれば良いのか...。嫌、そんなおせっかいは、はた迷惑か...。長姉はどんな想い...。母親は...。食事に行ったのだが、景色への想いで満腹に。(20196②)

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