"求人事情"から見ると...

 かつての痛(通)勤地獄は様々な工夫で多少解消されたようだが、どうしてこれだけの人が...、どこから湧き上がるのだろう...、などと不思議に思うほど多くの人が電車で職場に向かう。その仲間になるために就活する学生がリクルートスーツで街を歩く。そのような服装で企業訪問すらしたことのない者には、同じ服装で会社をめぐる統一性が滑稽にも見えるが、学生には人生を左右しかねない重要な問題。会社側からすれば将来性ある人材の採用は、企業の伸びしろそのものだから真剣。保育系の学生を相手にしていた頃"面接官を面接するつもりで..."と話したが、最近は良い子を演じ好感を持ってもらうために腐心しすぎている。自分らしさを表現しなければ、その後が苦しくなることなど考えが及ばない。事業規模や収入、知名度などが選択する要素の上位に上がる。だから面接で障害福祉の仕事を選んだ理由を聞きたくなるが画一的で"質""個性"を感じない。

 

 一方、社会福祉法人は決定的な"人出不足"。就職支度金を上乗せし、福利厚生の優遇を謳うなど。知ってもらわないことにはどうにもならないので、若者が手にしやすい情報提供に奔走する。仕事とは何か...などと言っていられない。利用者種別でも異なり障害系は人員確保が難しい...、児童系は応募がない...、高齢系は新設施設が人出不足でオープンできない...など。これが非常勤採用ではちょっと事情が変わる。非常勤希望者は千差万別。子育て中だから出来る時間内で働きたいが、落ち着いたら常勤職員で活躍したいと考えている人。一方、専業主婦だが子育てなどが落ち着いたので扶養の範囲内で働きたい人。扶養の範囲が曲者で頑張っていただいているのに扶養から外れる収入になると休止せざるを得ない。ベテランが休止すると痛手だと承知しても...。他に収入が必要でダブルワークも。それは格差社会の一端を垣間見る。一方、専門職やスペシャリストとして活躍した人が、キャリアを生かして少しだけ仕事をする人、これまでとは違った仕事に就きたい人、出来るうちは...と考える人など。実に幅広な働き方がある。

 

 これが社会福祉法人の広報活動に影響を与える。若者にはネット情報が確実。ネット情報はトランプ大統領の"フェイクニュース"ではないが、単なるうわさ話もあるので何とも言い難いが、面接時、確実にホームページを読んだ形跡がある。"地域移行が進んでいる法人だから..."と言われると、"どうしてそう思ったんですか..."などと聞き返したくなる。情報は鵜呑みせずしっかり確認したい。他方、再就職先として考える年代は折り込み広告。しっかりとコンセプトを抑えたい。パート就労や非常勤職員でも長時間働きたい人はネットと折り込みが半々ぐらい。ネットの都合よさを享受している人と、アナログ派を自認する人の違い。このように見ると社会福祉法人が求人広告を出すのは当たり前。それ以上に求人の要素や法人の特色をしっかり表現しないと求める人とのマッチングを見誤る。新聞離れや働き方改革、人材不足の相関が見え隠れ。(20197②)

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