二か月に一度巡ってくる施設長日記も九順目となったが、今年度から若手が1名増えて、また一味違った話題を提供してくれることとなった。二の丸、三の丸の周辺トピックスや回想録。そして、私生活臭のする自虐ネタは書いていて面白いが、この辺で一呼吸して、今回は普段意を構えている本丸を打ってみよう。
本年は実に残念な荒天続きの連休だったが、明けて5月7日~19日の2週間。 "よし介工芸館のアーティストたち"と題して相模原にある女子美術大学内に作品展の場をお借りし、学生を始めとする多くの学校関係者の皆様にお披露目させていただくことになった。
▼校門前のポスター
これに先んじて短期大学のある東京杉並校舎においては、昨年の秋に1か月間ほど、美大生の反応がどのようなものであるかのお試しで、学内のカフェテラスで作品展示を催した経緯がある。きっかけとしては、女子美術大学短期大学GP関連企画(注)、「障がい理解とアートフィールド参画支援の取組―学生達が支援する新しいアートミッション」という教育プログラムに関連したことであった。このことは、美術教育と障がい者の社会参画をつなげた新しい考え方でもあり、これまで同大学が障がい者を含む地域との連携の実績を発展させ、今後へも大いに期待出来る実践である。そして、学生が障がい者理解とその認識の基に、"アートによる持続可能な社会の創出と実現を目指すサスティナブル人財育成"を目標におき、また、海外の大学と連携協働し、障がい者と活動を継続することで、創造力、表現応用力を育て、国際力を身に付け社会貢献できる人を目指すとされている。
▼復興の絵は市民との協働作品
このような取り組みや考え方を教育理念や経営方針に位置づけ、次世代の育成に役立つ活動をしていこうとする大学、企業は多い。「人」「暮らし」「社会」「地球」の分野において、「人を中心とした」社会貢献の推進を目指そうということだ。そして、教育や事業を通じた社会への貢献のほか、環境を守り、文化、芸術も風土として根付くような社会参画型の活動も展開している。昨年は、この活動の一環としてazbilアズビル株式会社(旧株式会社山武)様の任意の支援団体から活動費の補助をいただき、また、地球と宇宙、環境保護に関連するイベントにも作品出展したことが刺激となって、福祉分野における創作活動の意義や目的をもあらためて再認識することになった。施設における絵画などの成果物が単なる趣味と鑑賞の範囲に留まらず、"アートを通じて社会と協働する"ことに意気込みを感じ、アート&デザインが未来を切り拓くための独創力と展開力を併せ持つことができれば理想的であると思った。
あらゆる分野で混迷が深まるばかりの現代。教育も企業も持続可能な社会の実現に気付き始めている。福祉も受け身でなく、制度、仕組みの枠を超えたところで社会に歩調を合わせ貢献できる華を持ちたい。
(注)文部科学省が推進するGP(Good Practice)の<平成21年度大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム>に採択される。
▼美大生は、ただの感想文じゃ物足りない?
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