10年前の2002年10月29日、不思議な体験をしました。
この日は、湘南セシリアの大規模改修工事と、それに伴う仮住まい生活のスタートした日でした。
おそらく最初で最後になるであろう仮住まい生活、職員と共に周到な準備をしてきたものの、何が起こるか分からない大きな不安の中で初日の朝を迎えたのですが、出勤途中、急に体に強い光を受け、それまでの不安が吹き飛んで、「頑張ろう!」という気力に満たされたのです。
いい加減で無責任な私がこんな気持ちになるなんて、セシリアの職員たちの「頑張ろう!」という気持ちが乗り移ったのだろうとしか説明がつかないのですが、自分の意志とは無関係に、一瞬にして180度気持ちが切り替わる、本当に不思議な体験でした。
改修工事は、週に一度現場会議があり、工程表に沿って整然と進行する工事の様子を見せてもらいました。多くの人たちが協力して一つのものを完成させていくその姿は、現場監督という指揮者がタクトを振るオーケストラを見ている感じで、組織の在り方を教えられました。
仮住まい生活は、ありがたいことに利用者40人が生活出来る場所(先日何年か振りで近くを通ったら、保育園になっていました)が確保でき、近隣の方々、家族の会の方々、周りの多くの方々のご協力を得て、無事終えることが出来ました。ただ、電気容量が少なく、日に何度かブレーカーが落ちました。電話やパソコンは中断するし、トイレに入っていた職員が真っ暗になって「キャーッ」と叫ぶのですが、利用者は悠然としていて、何度も利用者のたくましさにも助けられました。印象的だったのは、4ケ月後にリフォームした建物に戻った時、ある利用者から、「もう停電しないの?」と言われたことでした。
終わってからのアンケート等で、職員から、「(安江設計研究所の)設計の素晴らしさは、ビフォーアフターの番組に紹介したいくらい・・・」、「リフォーム完成は、終わりではなく始まり・・・。ホッとすることなく、この建物をいかに活用していけばいいか考えたい」、「仮住まい生活、もう一度やりたい・・・」という意見が出ました。
その他、当時主任だった伏見さん(現・地域包括支援センター課長)が、真夜中に不可抗力により2階の居室に閉じ込められ、止む無く窓から飛び降りて脱出した・・・など、数々の驚愕ハプニング、ほのぼのエピソードは、当時のセシリア職員(※下記ご参照)にお尋ね下さい。
私は一ヶ月後に本部に異動になり、リフォーム完成は始まりではなく終わり、になってしまいましたが、職員の一生懸命な姿から、「周りを信じ、力を合わせること」 「大事なのは今! 将来を見据えつつも、今やるべきことをコツコツと、かつ楽しんでやること」を、身をもって教えられました。
また、この時の職員の頑張りを思い出せば、これから先、何があっても乗り越えられる・・・と思える心の財産を与えられ、その後の10年、スランプや失意のドン底の時、この財産によって支えられてきました。当時課長だった植村さん(現・湘南ゆうき村施設長)をはじめ、仮住まい生活の苦楽を共にした47名の職員も、つらいこと、悲しいことを乗り越えていかれるよう、心よりエールをお送りしています。
「仮住まい生活、もう一度やりたい」とは思えませんでしたが、社会人生活の中で、間違いなく最も印象に残る貴重な体験をさせてもらったことに対し、改修工事と仮住まい生活に関わられたすべての方々に感謝しています。
※異動でバラバラになってしまいましたが、仮住まい生活を共にし、今も育成会で活躍中の職員
(湘南セシリア)伊藤さん、内山さん、吉澤さん、本間みよさん、加藤さん
(湘南ゆうき村)植村さん、島田さん、佐藤由美子さん
(湘南あおぞら)高木さん、 (新規事業推進室)伏見さん、 (よし介工芸館)波多江さん
▼写真は、リフォーム直後の湘南セシリアです。
ちょっと分かりにくいですが、外壁の色は、利用者・職員の多数決で薄いパープルになりました。
賛否両論あり、「パープルを好むのは、欲求不満の人・・・」という声もありましたが、
光の加減で、微妙に色合いが変わる外壁の色を、私は気に入っています。
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