夏休みを利用して2泊3日で信州共働学舎を訪問した。ここはお世話になった方が関わられているので、以前から訪れたいと思っていたが、ようやく実現できた。
共働学舎は1974年、自由学園の教師であった宮嶋眞一郎氏の首唱のもと、心や体に不自由を抱える人たちと数人の仲間によって、長野県小谷村で始められた。現在、拠点は長野、北海道、東京など5か所に130人のメンバーが農業を中心とした勤労生活を送っている。
信州共働学舎は長野県西部にあり、小谷村立屋と真木の2か所に分かれている。1日目は立屋で草刈りのお手伝いをしながら、担当の方にここで行われている微生物農法や有機農法の興味深い話を伺えた。夕方は牛や山羊の家畜の世話で、畜舎の掃除、餌と水やり、ブラッシングを体験した。大きな牛のブラッシングは初めての経験で少し怖かった。また、家畜の糞は堆肥の大切な材料となり、畜舎は掃除が行き届き、清潔を保たれていた。
夕食は代表の宮嶋信氏とご一緒させていただき、創設当時から現在の話をお聴きすることが出来た。まず考えられたことは、健康で生きていくためには「食べること」が大切であること。食べることは楽しみであり、食べることはたくさんの命をいただくこと、次の命につなぐことである。そこで食べ物を作ることから始まり、稲作、畑作、家畜の飼育から藍染め、機織り、パン工房など地域に密着した多彩な生産活動を展開されてきたそうである。そして社会の中で生きづらさを抱えている人と共に生き、人間を「できるできない」や点数で評価せず、一人ひとりに固有の価値が与えられている、という理念を持ってすすめられている。「誰にでも価値が与えられている」という言葉に私は胸を突かれ、この仕事を始めた原点を思い起こさせられた。
共働学舎の運営は趣旨に賛同した人に会員になってもらい、会費で運営していくシステムで、制度にのらず、公的な補助金をもらわない姿勢を貫いている。宮嶋氏は「経済的には苦しくても、規制を受けない自由がある。」とお話しされていた。
宮嶋氏は怪我で入院されていて退院直後でありながら、長時間にわたり貴重なお話しを聴かせていただいたこと、感謝申し上げます。楽しく充実した時間でありました。また、新しい出会いが生まれたこと心からうれしく思います。続く。
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