早いものでの今年もあと3週間で終わります。10月から12月に掛けて出来事について記したい思います。
1.第53回全国知的障害福祉関係職員研修会高知大会から
10月14日から10月16日に掛けて、第53回全国知的障害福祉関係職員研修会が高知県で行われました。私は土佐の六策を検討する分科会の一つ「第三分科会:暮らす~自分らしく活きるために」の講演とシンポジウムを担当しました。
第三分科会の趣旨は「自分らしく生き、幸せに豊かに暮らすことは誰でも願う人生である。その基本的条件は、暮らしの柱となる、衣・食・住が満たされていることであろう。しかし、それだけではないはずだ。利用者をとりまく人達も大事な要件となるに違いない。いわゆる地域と言われる自宅、グループホーム、一人暮らしであろうが入所施設であろうがそれに変わりはない。暮らしを支える者として、いかに基本的な条件をつくり、利用の意思決定やニーズをどのように捉えていくべきか、「暮(くらす)」をとおして探る」でした。
参加者の方々と共に考える上で、次のポイントを課題提起し分科会を進めました。
〇利用者の暮らしをとりまく人達も大事な要件となるに違いない。⇒我々支援者も大事な要件の一つである。
〇知的障害者の暮らしを支える上で、支援を行う我々の仕事の意義ってなんだろう。
・利用者の「生命・暮らし」を支えることが、この仕事の究極の意義だと思う。
〇そのことを前提に次のことを皆さんとともに考えて行きたい。
(1) 利用者の暮らしを支える仕組みについて
・厚労省や、我が日知協会が利用者の暮らしを支える仕組みについてどのような考えを持っているのか
(2) 利用者が活き活きと暮らすために我々は何を行うのか。
①豊かな暮らし・あたり前の暮らって?②利用者支援の権利を守るため。③支援の質を高めるため。・利用者の意思決定の支援・支援力を高めるためアセスメントについて④地域での連携。
分科会では、暮らしを支える我々の意識を確認する点から講義の他、「権利擁護について」「利用者支援の質を高めるため・ストレングス」「本日の分科会に参加し、皆さんが感じたこと。現場に戻ってやって見ようと思うこと。・講師の方に聞いてみたいこと」の三つのグループワークを行いました。
全国大会の分科会は参加者の方々が講師やシンポジストの方々の話を聞くことが多いです。第三分科会では、グループワークを通じて主体的に参加することで、利用者の暮らしを支える上で支援者が「考えて、気づいて、現場で実行するヒント」をお土産として持ち帰ってもらえたと思います。
全力で「土佐のおもてなし」をしていただいた、全国大会の実行委員の皆様・分科会の担当者の方々に、感謝!感謝です。
2.ちょっと真面目な話ですが・・・障害者総合支援法の見直しの議論から
障害者総合支援法の見直しに関しては、法施行平成25年から3年掛けて次の5点に課題について見直す宿題が出されていました。
① 常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援
その他の障害福祉サービスの在り方
② 障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方
③ 障害者の意思決定支援の在り方、障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の
利用促進の在り方
④ 手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため
意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方
⑤ 精神障害者及び高齢の障害者に対する支援の在り方
ちょうど一年前の今頃から、この見直しの議論が始まりました。
私は、日本知的障害者福祉協会の政策委員長として、協会意見の取りまとめや議論の場に参画する機会をもらいました。12月7日の時点では、社会保障審議会障害者部会で一通りの検討が終わり、今年中に障害者総合支援法の法改正を含めた見直しの方向性が出される予定です。
様々な角度から課題等検討がなされましたが、現在までの議論を踏まえ今後の可能性を私見として、次のようにまとめました。
(河原私見)
・基本的な現行のサービス体系の枠組みは継続されるよう可能性が高い。
・グループホームを利用している「区分なし・1・2」に方の暮らしの在り方について、次期報酬改定等に向けて議論がスタートする可能性が高い。
・一部、重度訪問介護を利用している重度障害者の入院時の支援は制度化の可能性が高い。
・移動支援は、個別給付と地域生活支援事業の枠組みは継続される。通勤、通学について関係省庁と連携し支援のあり方を今後検討する可能性が高い。
・就労支援については、現行サービス体系は維持。就労アセスメントの状況把握・検証。
また、障害者やその家族等が適切な事業所を選択できるよう、事業所の事業内容や工賃・賃金、一般就労への移行率、労働条件等に関する情報を公表する仕組みを設ける可能性が高い。
・支給決定プロセスについては、現行の仕組みを維持。相談支援専門員の確保と資質の向上に向け、研修制度の見直しや、指導的役割を担う人材(主任相談支援専門員(仮称))を育成するとともに、こうした人材の適切な活用について検討する可能性が高い。
・障害支援区分に二次判定の変更内容について検証する可能性が高い。
・意思決定支援については、定義や意義、標準的なプロセス(サービス等利用計画や個別支援計画の作成と一体的に実施等)、留意点(意思決定の前提となる情報等の伝達等)等を取りまとめた「意思決定支援ガイドライン(仮称)」が作成され、事業所で積極的に取り組む可能性が高い。
・高齢の障害者に対する支援の在り方については、介護保険法優先の原則を維持することを原則として、「障害福祉事業者が介護保険の事業指定を取りやすくする、相談事業者が介護保険の相談が出来るように介護支援専門員の資格を取れるようにする。」など様々に実施されている介護保険の事業との連携の強化が図られる。
・地域で生活する高齢障害者等に対し、平成 27 年度に実施している地域生活支援拠点に関するモデル事業の成果も踏まえつつ、地域生活を支援する拠点の整備を検討が進む。
・その他の障害福祉サービスの在り方等については、今後利用者負担の在り方が検討される可能性が高い。
以上です。
さて、今年一年、皆さんにとってはどんな年でしたか・・・私は、「悩み・迷い」ながら過ごした2015年でした。
良いお年をお迎え下さい。
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