これは東京ディズニーランドが開園して間もないころの話です。
当然のことながら「東京ディズニーシー」も「ビックサンダーマウンテン」も「ハニーハント」も「モンスターズインク」もまだありませんがパスポートは3900円でした。パスポートは今7400円ですので30年で約2倍になったわけです。物価指数も違うので単純な比較はできませんが価格と商品価値が見合うかどうかは意見の分かれるところだと思います(参考までに顧客満足度ランキングはこの数年でかなり下がってきています)。
話が少しそれました。
ご存知の方も多いと思いますが東京ディズニーリゾートには障害者割引がありません。割引がなくても充分なサービスが提供できるという自信の表れですが、これは開園当初も同様でした。当時私はまだ20代で、自立歩行は難しい四肢麻痺の方を含む数名で東京ディズニーランドに行きました。アトラクションに長時間並ばなければならないのは今も変わらずですが、車いすの方がいる場合は代表の一人が列に並び、順番が来たところで合流するというスタイルでした。また、基本的にはゲスト同士で移乗できるなら利用可となっていました(現在はアシスタントカードがあってヘルプの内容を相談できるようになり、列に並ばなくても指定時間にいけば利用可能などの対応があります)。
結果、他のゲストと同じ時間並んで本人が希望した大体のアトラクションには乗ることができ、乗れなかったのは出口付近で数メートル自力で歩かなければならない条件がついていた「カリブの海賊」だけでした(当時の話ですから現在どうなっているかはわかりません)。私たちは少しの間止めてくれれば、その歩く数メートルを複数人で抱きかかえるから乗ることができないか交渉しましたが安全上の理由から叶いませんでした。それを差し引いても秘密の扉から乗り場まで案内してくれたり、そこで隠れミッキーを教えてくれたり、割引がなくても十分満足いくものだったと思います。
ですが乗れないものがある以上割引があるべきだという意見も理解できます。障害があるだけで乗れないアトラクションがあっていいのかという意見もあるかもしれません。ただ、それは障害とは別の次元かもしれません。なぜなら「ピーターパン」では幼児2人を連れたお母さんは乗ることができません。乗り物が二人乗りで幼児の一人乗りができないためです。乗れないものがある以上割引があるべきだはこの場合議論にならないような気がします。
私がふと、この話を思い出したのは最近、格安航空会社が障害のある方の搭乗を階段昇降機がないのを理由に断ろうとした一連のニュースを目にしたからです。格安航空会社のコンセプトはサービスには多少不便を感じても格安で利用してもらおうというものです。
この「サービスには多少不便を感じても」の部分が合理的配慮の適応をうけるかどうかだと思うのですが後日、階段昇降機が用意されたことで(過重な負荷?)表面上議論は終了してしまったようです。
本来であれば合理的配慮の視点から「サービスは少し落ちても」の範疇に「障害のある方々は利用できない」が許容されるか、自力でタラップを昇る行為が調和の結果として認められるか等、議論すべき点が多々あったと思います。
合理的配慮は英語表記でresonable accommodationというらしいです。私が調べた範囲ではAccommodationに配慮という訳は見当たりません。むしろ便宜、調整、そして調和という単語が表記されています。個人的な意見ですが調和がしっくりくるかなと思います。いずれにせよ差別とかヘイトとか、感情的な意見で議論するのではなく、冷静な議論の中で調和を探る習慣をつけなければ虐待防止も差別解消も権利条約の推進も進まないと感じました。
最後にそれでも30年以上前にすでにこれだけの準備がなされていた東京ディズニーランドはやはり"夢と魔法の国"なのかなと思いました。
大変長文になってしまい申し訳ありませんでした。最後までお付き合いくださりありがとうございました。
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