みらい社で行っている就労プログラムに関する理念や内容に関してはこれまでの『みらい社スタッフ日記』を通してご紹介してきました。"行動の意味付けと目的意識を持つことの大切さ"、"当事者意識から生まれる自主性や主体性"、"実行力の必要性"などがそれに当たります。詳しくは、過去の日記をご覧ください。
そうした、就労プログラムの理念の軸になるのが"考える"ことです。プログラム内でワークシートに記入する時、作業デイなどで現場の作業に入る時など、あらゆる場面において"考えて行動する"ことをプログラムの軸にしてきましたが、メンバーの言動にその成果が表れるまでには時間を要しました。当初、何か行動に取り組もうとするメンバーからは度々、『どうすればいいですか?』『何したらいいですか?』という声が聞かれたのも事実です。その都度、『自分で考えましょう。』『何をすべきか思い出してみましょう。』と対応してきたものの、考える重要性や効果については時間をかけて伝えられなかった面もありました。
そこで、改めて、"考える"ことの重要性やそこから得られる効果や"力"を知ることを目的にしたプログラムを取り入れていくことにしました。このプログラムはメンバーの意見を交えながら進めていき、最終的にはメンバー自身が"考えることから得られる力"に"主体的に気づく"ことを狙いにしました。プログラムの内容は実際に現場やプログラム内で自身が"考えて行動した"と思うエピソードを挙げてもらい、それによって作業をする上でいかに役立ったかを検証してもらいました。その上で職員から『"考えるサイクル"を示した図』(写真)を提示して、講義を行いました。その際は図とメンバー各々のあらゆる行動とを当てはめながら、解説していき、"考える"ことからどんな"力"が身に付くのか、そして、その"力"が働く上で、さらには社会で生きていく上で必要になる"力"になること、つまり、"考えるサイクルの有効性"にメンバーが気づき、理解できるよう努めました。
講義を進めていく中で、メンバー自身は日頃の"考えた行動"が働く上での"力"に繋がっていることに気づけた様子でした。また、"考えるサイクル"を重ねたことで、作業デイをはじめとした現場の中で『どうすればいいですか?』『何したらいいですか?』と聞くことが減り、自主的に動く場面が見受けられるようになりました。今まで自信が持てなかったメンバーの一人からは『自信が付いてきた』という声が聞かれるようになりました。
先日、就職が決まり、みらい社を卒業することになった川島さんも、この"考えるサイクル"を実践してきた一人です。"考えるサイクル"を実践することで、最終的に、当初持てなかった"自信"が身に付いたとのことでした。そして、この"自信"が就職することを決断する根拠になったとのことです。川島さんには、この"考えるサイクル"を就職したからと言って終わらせるのではなく、長く働き続けるために、そして社会で力強く生きていくためにずっと活用して欲しい
、という旨を伝えました。
みらい社の就労移行支援事業は、今後も今回ご紹介した"考える"ことを軸にしたプログラムを提供していき、メンバーが社会で通用する力を身に付けていくことを目指していきます。(就労支援員:片野篤伸)
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