"実行力"の必要性 ~『作業デイ』から得られるもの~

 みらい社の就労移行支援事業では毎週水曜日を『作業デイ』と称して、メンバーはみらい社の第一工場や第二工場で行われている作業及び施設外作業に入ることになっています。この目的は日頃の就労プログラムを通して学んだ『働く上で大切なこと』を現場の中で"実践""実行"するためです。就労プログラム内で学んでいる『働く上で大切なこと』とは挨拶や身だしなみ、言葉遣いを基本とした『ビジネスマナー』、『報・連・相』、仲間と一緒に働く上で大切になる『協調性』などです。しかし、いくら就労プログラム内でこれらの要素を学んだとしても、『学んだだけ』、『聞いただけ』、『ワークシートに書いただけ』では学んだ効果は活かされず、実際に働いた時にも学んだことを発揮できません。大切なのは"学んだことを実行すること"であり、そこには"実行力"を要します。

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この"実行力"を身に付ける目的で、作業デイの前日に『目標設定』のプログラムを、翌日には『振り返り』のプログラムを設けています。『目標設定』のプログラムにおいて、メンバーはワークシートに作業デイの目標及び目標を設定した理由を記入し、翌日の作業デイ当日には自ら設定した目標を意識しながら現場の作業に臨みます。

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ここで、まず大切になるのは目標を"意識"することです。ワークシートに記入することには、自身の考えが整理されることで、"学んだことを実行すること"に対するより一層の"意識化"を図る意図があります。さらに、目標設定をする際はメンバーが自分の力で"考える"ことを重視しています。これは、他者から言われたことをこなすのではなく、自分の力で"考えた"ことによって生み出された目標であれば、目標に取り組むに当たって"当事者意識"を持って取り組めるという考えに基づきます。

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こうした過程を踏んだ上で臨む現場の中には『ビジネスマナー』、『報・連・相』、『協調性』など、学んだ要素を発揮すべく場面が散りばめられています。その場面に出くわした時にいかに設定した目標やこれまで就労プログラムで学んだ要素を"意識"できるかがポイントであり、高い"意識"を持つことが"実行力"に繋がるものであると思います。つまり、前述した『目標設定』のプログラムの意図はここに通じているのです。

 

そして、作業デイ翌日の『振り返り』のプログラムでは、自己評価を行います。『目標を意識して取り組めたか?』『結果的に仕事はどうなったか?』『働く上で大切だと思ったことは何か?』等、現場に入ったことによって"気づけたこと"、"発見したこと"をワークシートにまとめます。その上で、現場での自身の行動や具体的な場面と『働く上で大切なこと』とを照らし合わせ、自己理解を深めていきます。振り返りを実施する意図は作業デイを通して、自身が出来たこと(成果)や課題を明確にして、後の行動に活かすためです。反省の場ではなく、出来ていることや成長した点を正確に自覚し自信に繋げる場と考えています。

 

以上の"ねらい""意図"を持った『作業デイ』の導入から約半年が経過しましたが、導入当初に比べると、メンバー各々が設定する目標の内容や振り返った時の内容が濃くなったと感じられます。目標の設定の際は、自身の現状や課題と照らし合わせた目標設定が出来るようになりました。振り返りの際は現場内で気づいたことや発見したことの量が増えてきました。そのため、各々が振り返りに要する時間が長くなり、かつ濃密な時間になってきました。さらに、現場の職員からも、『メンバーが目標をしっかり実行できている』という声も聞かれるようになりました。就労プログラムで学んだことや、やった方が良いと思ったことを心の中で思うだけに留めず、現場内で"実践""実行"できるようになってきました。これは"実行力"が着実に身に付いているということだと思います。

 

今回ご紹介した『作業デイ』に限らず、みらい社が提供する就労移行プログラムは "自分で考える力"や"実行力"など、社会で通じる力を得るためのものでありたいと思っています。

(みらい社 就労支援員 片野 篤伸)
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